検索窓
今日:5 hit、昨日:9 hit、合計:12,890 hit

二百四十九話 Q ページ2

「ぼくを閉じ込めたお礼に、いっぱい苦しめて壊してあげるね」


「善く憶えているよ。
君ひとり封印する為に、大勢死んだ。結局あの時は、Aが命懸けで君をあやして封印したんだっけ
けど次は封印などしない。
心臓を刳り貫く」




太宰のその言葉にQが動揺することはなく、楽しそうに話しながら列車に乗り込んでいった。




「ふふふ、また遊ぼうね太宰さん☆」




タイミングを呼んだように、そこで列車のドアが閉まる。


太宰は樋口の言葉を思い出していた。




________________


「闘争を征する為ならば、マフィアは手段を選びません」

________________


「私も策の清濁に拘っている場合では無い………か。

行くよ敦君」


「………」




太宰がそう声をかけるも、敦は全く動かない。


太宰は敦の前にしゃがみ、敦の腕を持ち上げようとする。

しかしその前に、敦が口を開いた。




「駄目だ……。
僕は駄目だ……、僕はいちゃいけなかったんだ……」


「敦君」




その言葉を聞いた太宰は、一度敦の頬に手を添えると、勢いよく敦の頬をたたいた。


突然の出来事に、流していた涙もそのままに、敦は驚き固まる。




「君から過去を取り上げる権利は私にはない。
だが偶には、先輩らしい助言でもしよう。
自分を憐れむな。自分を憐れめば、人生は終わりなき悪夢だよ」


「………」


「さあ、そろそろ反撃といこう。こちらも手札を切るよ。
三百ある中で一番(エグ)い鬼札をね」




太宰のその言葉に、敦が反応する。


太宰は敦に向けてニッと笑った。




「この戦争に、政府機関を引き摺り込む。
そうと決まれば、早速動かなくてはね、A」


『うん』




太宰が起きあがろうとしていたAにそう声をかける。


Aは立ち上がろうとしたが、その途中でむせてしまった。




『ゲホッゴホ』


「大丈夫かい?」


『大丈夫だいじ……』

「A!」




太宰を安心させるように笑って言うが、言葉とは裏腹にAは再び倒れ込んでしまう。


慌てて駆け寄りAを受け止めた太宰が見たのは、Aの手にべっとりとついた赤だった。

二百五十話 ウィル・オブ・タイクーン→←二百四十八話 Q



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
314人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

??(???)??(プロフ) - 神作品すぎてここまで読んでしまった……夢主ちゃんどうなっちゃうの!?長生きして欲しい……これからも作者様のペースでよろしくお願いします! (1月9日 21時) (レス) @page23 id: 71a0ede70a (このIDを非表示/違反報告)
花見月 - いつも楽しく読ませてもらっています。アンケートですが、1でお願い致します。 (2021年9月24日 0時) (レス) @page5 id: 216d69af47 (このIDを非表示/違反報告)
びっくりさん(プロフ) - 1がいいです。 (2021年9月22日 21時) (レス) @page5 id: d067fbdc83 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 1が良いです。 (2021年9月22日 18時) (レス) @page5 id: 3b590f766f (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ(プロフ) - 個人的には1が良いです。 (2021年9月22日 1時) (レス) @page5 id: 91a3e851e1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ark | 作成日時:2021年9月12日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。