七十四話 恋バナ ページ25
「Aさんこそ、どうなんですか?
Aさんの恋愛話なんて聞いたことないですけど」
『えっ!?』
樋口のその質問に、Aは驚いたような声をあげる。
樋口をいじってはいたが、まさか自分の方に話が回ってくるとは思いもしなかったのである。
「好きな人いないんですか?いないなら、タイプとかでもいいんですけど」
ものすごい勢いで聞いてくる樋口に、Aは若干焦りながら口を開いた。
『好きな人とかはいないよ。ただ……』
「ただ!?なんですか?教えてください!」
『う〜〜〜〜、わかったよ…』
ついには樋口の勢いに押し負けて口を開いてしまう。
『私、結構理想高いんだけど…』
「それでも構いません!」
『なら…えっと』
Aの次の言葉を待つ樋口。
Aは小さな声でいった。
『えっと……。背は私より10cm以上高くて、綺麗な声で、そこそこ顔が整っていて………』
「わかります!大事ですよね!」
『うん。……えっとそれから、優しくて、その、頻繁に……だ、だっ』
「だ?」
『………だ、抱きしめてくれる人…がいい///////』
最後の言葉になるにつれて声が小さくなっていくA。
Aのそんな姿を見た樋口は、赤面を逃すことなく写真に収めた。
『ちょっ、樋口ちゃん?何撮ったの!?』
「いえ、別に
(可愛すぎる…///あとで芥川先輩にも送らなければ)」
樋口はそういうと、元通りの笑顔で笑う。
「Aさんなら、そのうちそんな相手とも出会えますよ!」
『そう…かな』
自信なさそうにするAだが、樋口は自信満々に頷く。
そんな樋口に、Aは少し笑った。
「あ、私でよければ、いつでもAさんを抱きしめに行きますからね!」
『ふふっ。うん、ありがとう』
そうして、いつもより少しだけ平和な日曜日は幕を閉じたのだった。
後日、樋口から送られてきたAの写真を、芥川が大切に保存したのは言うまでもない。
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ark(プロフ) - あきあきさん» ありがとうございます!そう言って貰えて嬉しいです!!これからもよろしくお願いします! (2021年2月28日 5時) (レス) id: 875b3ab9f7 (このIDを非表示/違反報告)
あきあき - 最初から読ましていただきました!すっごく面白いです!原作+夢主のかけあいとかが好きです!頑張ってください! (2021年2月28日 4時) (レス) id: 2068c5b889 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ark | 作成日時:2021年1月17日 22時