三十八話 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス(後編) ページ39
樋口のその言葉に、太宰はつまらないとでも言うかのように、ポリポリと頭をかく。
Aも苦笑しながら話を聞いていた。
「知ってるよその位」
『うんうん』
その様子に、芥川はふっと笑い、続けた。
「然り。外の誰より貴方がたはそれを悉知している。
__________元マフィアの太宰さん
そして_______首領令嬢であるAさん」
太宰はその言葉に不適な笑みを浮かべる。
Aは、敦たち三人がまだ目を覚ましていないことを確認すると、芥川たちに近づいた。
『久しぶりに会ったね!二人とも!』
そういったAは、芥川に抱きつく。
樋口はさっきと一転、とても優しい笑顔を見せた。
太宰はその様子に不服そうだが、Aはそれを気にすることなく続ける。
『二人とも、お仕事頑張ってるね。お疲れ様』
「いえ、そんなことは。まだまだです」
『龍くんは相変わらずだね。あ、そういえばこの間、たまたまお休みの銀ちゃんにあったんだよ』
「はい、その話は銀から」
『そっか』
他愛もない話を始めるA。
その様子を微笑ましくみながら、樋口は時計に目を移した。
「Aさん、すみませんが、この後まだ仕事がありますので…」
『あ、それもそっか。頑張って!あ、それと_______』
Aはそういって芥川から離れると、ふと真面目な顔に戻る。
そして二人をしっかりと見据えていった。
『二人も仕事なんだろうし、今回は誰も死んでないから良いけど、こちらに犠牲が出るなら容赦はしないよ。
それから__________敦くんは渡さない。
何があっても』
「はい。お互い所属場所が違う身、それは弁えています。……しかし人虎はいただきます」
『やってみなよ。
あ、それとね。私は探偵社が気に入ってるの。自分が身を置く場所くらいは自分で決めるから』
「はい」
Aの言葉に返していく芥川。
その返事を聞いたAは笑った。
『じゃ、そんだけ!またね!』
Aがそういうと、芥川はそれ以上何もいうことなく歩いていった。
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作者名:ark | 作成日時:2021年1月4日 18時