十六話 或る爆弾 ページ17
Notside
Aと敦の会話も終わった頃、国木田は敦と太宰を急かすように言った。
「この非常事態に何をとろとろ歩いて居るのだ!疾く来い!」
「あの.......「非常事態」って?」
敦の質問に、国木田が脂汗を滲ませながら答える。
「爆弾魔が、人質を連れて探偵社に立て篭もった!」
.
.
「嫌だァ.....................もう嫌だ.................」
爆弾の起爆装置を持ってガタガタと怒りに震える爆弾魔。
探偵社に着いた四人は、その様子を見つめ、現状を確認していた。
「ぜんぶお前等の所為だ.......。【武装探偵社】が悪いンだ!社長は何処だ、早く出せ!でないと___
爆弾で皆吹っ飛んで死ンじゃうよ!」
爆弾魔の手元には爆弾のスイッチが置いてある。
そしてその足元には、人質に取られた事務員の女の子が縛られていた。
「あちゃー」
「怨恨だ」
探偵社に属する三人が、植え込みや壁に身を隠して、事情を敦に説明する。
「犯人は探偵社に恨みがあって、社長に会わせないと爆破するぞ、と」
「ウチは色んな処から恨み買うからねえ」
『うん...............あれ
爆弾に何か被せて爆風を抑えるって手もあるけど.....この状況じゃね.....』
流石は探偵社員というべきか、まだ幼いAですら、爆薬の詳細が把握出来ている。
「どうする?」
「会わせてあげたら?社長に」
「殺そうとするに決まってるだろ!それに社長は出張だ」
「となると.........人質をどうにかしないと」
国木田と太宰は、話し合いを終えたのか、いきなり構える。
Aも握り拳を作った。
敦はそれで、異能力を使うのかと期待するが、期待も虚しく、三人ははジャンケンを始めた。
二度のあいこが続き、太宰とAがパーで勝つ。
勝った太宰はにたあと笑い、植木の外に向けてスッと手を差し出す。
それを見た国木田は怒りでわなわなと身体を震わせた。
そして、舌打ちをして出ていく。
敦はひたすらその様子を眺めていた。
「おい、落ち着け少年」
「来るなァ!吹き飛ばすよ!」
国木田の冷静な説得も効果はなく、犯人はスイッチを構えた。
それに対して国木田は、サッと手を挙げた。
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作者名:ark | 作成日時:2021年1月4日 18時