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十五話 或る爆弾 ページ16

敦side



僕の名は敦。


無自覚のまま【人食い虎】に変身し、暴れていたところをこの人____


太宰さんに助けられた。



太宰さんは、かの有名な異能力集団【武装探偵社】の一員らしいのだけど_____



今、太宰さんは寮の前の土管に嵌まっている




「同僚のかたに救援を求めなかったのですか?」


「求めたよ。でも私が「死にそうなのだ」と助けを請うた時、何と答えたと思う?」


「死ねばいいじゃん」

「御名答」




何となく、想像がついた。





知らぬ者なき異能集団_____ねえ...。


とてもこの人がその一員とは思えない。



でも、確かに虎に変身した僕を人間に戻したのはこの人なのだ。






「ところで、今日は何処へ?」


「うん。君に仕事を斡旋しようと思ってね」


「本当ですか!」




もし本当なのだとしたら、とても有り難い。


太宰さんって、実はものすごくいい人なのかもしれない。




「伝手の心当たりがあるから、先ずは探偵社に行こう。任せ給えよ。我が名は太宰。
社の信頼と民草の崇敬を一身に浴す男((「ここに居ったかァ!」」




太宰さんの言葉に被さって聞こえる怒号。




「この包帯無駄遣い装置!」




_____信頼と崇敬...........?


前言撤回、それは無さそうだ。




「.........国木田君、今の呼称はどうかと思う」




そんな風に言ってショックを受けた様子太宰さん。


それを見ていた僕は、誰かに話しかけられた。





『おはよう、敦くん!昨日は眠れた?』


「あ、うん」


『それは良かった』




話しかけてきたのは、太宰さんに怒号を浴びせる国木田さんの後ろから、ひょっこりと出てくるAちゃん。


僕より年下だけど、探偵社の一員らしい。




「あ、そうだAちゃん」


『何?』


「その.......昨日はありがとう。あの時倉庫でかけてくれた言葉、嬉しかった」


『いえいえ!誰だって、悩むことはあるからね!大丈夫だよ!』




昨日、倉庫で弱音を吐いた僕に、Aちゃんは優しい声をかけてくれた。


孤児院じゃありえなかったことだ。


本当に感謝してもしきれない。




『また何か吐き出したいことがあれば、私のところに来てくれていいからね!話はいくらでも聞くよ!』


「ありがとう」




僕より年下なのに、本当にしっかりしてるなあ。






僕らの会話の外では、また太宰さんが国木田さんで遊んでいた。

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作者名:ark | 作成日時:2021年1月4日 18時

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