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一話 出勤 ページ2

Aside



『ふああ…。眠い』




布団から上半身だけを出して、強制的に目を覚ます。


私は朝が弱い。

それはもう、とっても。


でも、社長と乱歩さんに迷惑はかけられない。

それに、出社した時に眠そうな顔をするのは、なんとなく嫌だ。


私はこの仕事が好きだから、そういうところはちゃんとしたい。



まあ、この気持ちは多分、育ってきた環境による物だと思うけど…。




「A〜、起きてる?」




着替えながら色々考えていると乱歩さんの声がして、それとほぼ同時に扉がノックされる。




『は〜い!今ちょうど着替えが終わったから、入ってきていいよ、乱歩さん』


「おっはよ〜!」


『あれ、今日は元気だね!何かあった?』




いつもならもっとこう、眠そうというか…。


朝ごはんに好きなものがあったとかかな?




「それがね、今日は駄菓子屋さんのお菓子に新作が出る日なんだよ!」


『ああ、なるほど』




だから朝からやる気満々だったんだね。




『じゃあ今日は、駄菓子買ってきたら仕事頑張るんだね』


「うん、まあ今日は、探偵の仕事もあるしね。……あ、そうだA、今日多分太宰が何か拾ってくるんだけど、それの教育係、Aになると思うから頑張ってね」


『何か?教育係ってことは、拾ってくるのは人なのかな?ま、頑張るよ!』


「うん」




乱歩さんはそういうと、私の頭を撫でる。


乱歩さん曰く、身長が低い私の頭は乱歩さんが背伸びせずに手が届くから、撫でやすいんだとか。


まあそうでなくても、乱歩さんが人を撫でるのなんてなかなか無いから、私も素直に撫でられている。




「乱歩、A、朝食ができたぞ」


「あ、はーい!」


『今行きます!』




少し離れたところから社長の声が聞こえて、すぐに返事をする。


私たちの会話はそこで終了した。





今日の朝食は、鮭の塩焼きに卵焼き、白米と味噌汁だった。




『美味しい!』


「そうか」




社長のご飯はやっぱり美味しい。

私はその美味しさに目を輝かせた。




「A、私は社に向かう前に乱歩とともに駄菓子屋に行ってくる。戸締りはしておくから、先に出勤しておいてくれ」


『うん、じゃあそうするね』




そう返事してふと時計を見ると、もう出発時間になろうとしていた。




『あ!それじゃ、いってきまーす!』


「いってらっしゃい!」




私は慌てて朝食を終えると、乱歩さんの声を背に家を飛び出した。

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作者名:ark | 作成日時:2021年1月4日 18時

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