三十三話 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス(後編) ページ34
「死を惧れよ。殺しを惧れよ。死を望む者、等しく死に、望まるるが故に____」
A達が向かった先には、黒衣を纏った男がいた。
谷崎は地に倒れており、何やら傷口から黒い布が男のいる方向へと戻っていく。
敦はそれを見て、即座にそれが異能の武器であることを理解した。
そして同時に、社で国木田に言われたことを思い出す。
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「こいつには遭うな。遭ったら逃げろ」
「俺でも___
奴と戦うのは御免だ」
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「____な」
早速出会ってしまった。
そう思うとともに、再び目の前で人が倒れている今の状況に混乱した。
一方芥川は、敦達に向けて自己紹介し始めた。
「お初にお目にかかる。僕は芥川。
そこな小娘と同じく、卑しきポートマフィアの狗____」
そう自嘲的に言いながら、手を口に当てて軽くむせる。
樋口は芥川をバッと振り向くと、声をかけた。
「芥川先輩、ご自愛を____此処は私一人でも」
胸に手を当てそう言った樋口を、芥川は蔑むような目で見る。
そしてピシッと音を立てて、樋口をぶった。
ぶたれた拍子に、樋口のつけていたゴーグルが飛ぶ。
「人虎は生け捕りとの命の筈。片端から撃ち殺してどうする。役立たずめ」
「____すみません」
赤くなった頬を抑えた樋口は、眉を下げて謝る。
「人虎……?生け捕り……?あんたたち一体」
そんな疑問を口にした敦に答えたのは、芥川だった。
「元より僕らの目的は貴様一人なのだ、人虎。
そこに転がるお仲間は_____いわば貴様の巻添え」
「僕のせいで皆が____?」
『敦くんそれは違う!
(私がナオミちゃんの治癒に時間がかかったからなのに!)』
Aはそう叫ぶが、芥川はさらに続けた。
「然り、それが貴様の業だ人虎。貴様は、
敦はその言葉に俯く。
孤児院での呪いのような言葉をまた思い出していた。
芥川は追い討ちをかけるように言った。
「自分でも薄々気が付いているのだろう?」
芥川はそう言って、動揺を隠せない敦を見ると呟くように言った。
「【羅生門】」
『!』
その言葉を合図に、芥川の外套が黒い獣へと変化する。
それを見たAは、敦を抱えて横に飛んだ。
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作者名:ark | 作成日時:2021年1月4日 18時