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「水ジムのジムリーダー弱かったわ〜」
「モデル業一本にすればいいのにな」
大衆は身勝手だ。
安全地帯から傍観して、気に食わないことがあったら集団で攻撃をする。
ルリナさんがたとえ気にしていなくても、私はとても気分が悪かった。
『こんにちは、ルリナさん』
「ルリナでいいわ。ようこそ、バウタウンへ」
流石モデルさん、立ち方から歩き方まで無駄がない。
どこのジムリーダーもジムプラスもうひと仕事しているなんて、頑張り屋さんね。
「さっきの試合、見ていたでしょう。あなたの感想が聞きたいわ」
『私の…ですか』
こういう時、大抵気を使ってしまうのだけれど。
ルリナちゃんの場合は私が思ったことをありのままに話したほうがいいよね。
『全体を見て思ったのは、ポケモンの攻撃に動作が早かったなと思いました。ポケモン自体が素早いと言うよりも、ルリナちゃんの指示を聞く前に、どんな技を出すべきか予測ができていたんでしょう。コンマ何秒早く出せたことで、相手のポケモンは避けきれなかった』
ポケモンのくりだす鮮やかな水の動きは一種のパフォーマンスのようで、思わず目を奪われた。
三分間きっちり感想を言うと、目をぱちくりさせて微動だにしなくなってしまった。
「よくわかったわね、そんなこと」
『視力だけはとてもいいんです』
視力も悪かったら、きっと私はとっくに死んでしまっているだろう。
「視力だけじゃないわ。ポケモンの知識も普通の画家が有しているものとは思えない」
『知り合いの博士から見聞きしたからですかね』
「そういうことにしておいてあげる」
そう言って背を向けて歩き出すルリナちゃんの三歩右後ろをついて行く。
……勘が鋭いのね。
「オススメのレストランがあるの。お昼はそこで済ませましょう」
『いいですね』
「あなたには聞きたいことがたくさんあるもの。例えば……、キバナのこととか」
話を少し聞いてみると、ジムリーダー間で最近はやりの話題らしい。
ルリナちゃんの方がジムリーダー同士付き合いが長いのでは？
昔ちょっと遊んでただけだよ？
「それが聞きたいんじゃない！レストランじゃなくてバーを貸し切るべきだったわ！」
け、計画犯だ…。
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作者名：くるとん | 作成日時：2023年2月24日 20時
