隠し事の多い君に贈る愛の言葉 (ページ28)

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キバナくんにお礼がしたい。

お父さんは何もいらないと言っていたが、それでは私の気が済まない。

菓子折りを持っていくのもいいけど、もし甘いものが嫌いだったら……。

キバナくんが喜びそうなものってなんだろう。

『私キバナくんの好きなもの全然知らない』

分からないなら聞けばいい。

メッセージアプリを開き、好きなものはなんですか？とまで打ち込んだが馬鹿正直に聞くのは気が引けた。

「お前があげるものならなんでも喜んでくれるさ」

『……お父さんキバナくんと何かあったでしょ』

このままでは埒が明かない。

実際にショップに行って良さげなものを見繕ってこよう。

ついでにこの前ナックルシティで買ったポケモンも食べれるお菓子をお土産に買って帰ろう。

ショーウィンドウに飾られた商品をドラゴンタイプであるガブリアスと一緒に見て回る。

これはどう？、これ好きかな？、これは私が好きなデザインだけどキバナくんはどうだろう？、とガブリアスに聞く。

最初は割と反応してくれたが、今はそっぽむいたり、頭でつついて家に早く帰ろうと催促してくる。

ボールにもどる？と聞くとそれは違うみたいな顔をされる。

ガブリアスのためにも早く買い物を終わらせないと。

小一時間ほど悩んだ後、不意にガブリアスに爪で服を優しく引っ張られた。

ついて行ってみるとこじんまりとした雑貨店にたどり着いた。

ガラスの向こうにはきらきらとした小物が並んでいて、私にとっては縁のない世界だ。

キバナくんこういうの好きかも……。

店内に入らず、外からじーっと物色していると後ろから優しく抱きしめられる。

見上げるとフードをかぶったキバナくんの深海のような目に吸い込まれそうになった。

心做しか怒っているようにも見える。

「誰かにプレゼントでもすんの？」

『そうしたいところなんだけど、決まらなくって』

「ふーん……。じゃあ、このオシャレ番長のキバナさまがAのプレゼント選びを手伝ってやろう！」

なんていいタイミングなのだろう！

キバナくんの欲しそうなものを確実にプレゼントできるチャンスだ。

『心強いな。キバナくんありがとう』

顎の下を撫でながらガブリアスに外で待っててね、と言って店に入った。