21. ページ22
『好きなタイプ？人間の？』
「そう！オレさまの友達が聞きたいって」
キバナくんの友達なんて会ったことない気がする。
それにさっきから目が合わないようにずっと花の冠作ってる。
……怪しい。
『キバナくんを通じて聞こうとしているその人は貴方から見てどんな人なの？』
「えっ、と〜」
『ん？』
「ゆ、優良物件だと思いマス」
『そうなんだ』
キバナくんから見ていい人認定されてるなら、本当にいい人なのだろう。
私は無理やり彼と目が合うようにして、軽く笑ってみせる。
『お友達に言っておいて。直接聞きに来ないような度胸のない人を好きになったりはしないって』
「へ、」
『今度二人でお話しましょう、とも伝えておいてくれる？相手は私のこと知っているのに私は知らないなんて失礼だと思わない？』
「……いやいやいや。二人っきりで会うのは良くないだろ！」
『キバナくんがいい人だって言ったから会おうと思ったのに。それともそんな友達ははなから存在していないとか……』
喋れば喋るほどにボロが出てくるキバナくんをじわじわと追い詰めていくのは癖になりそうだった。
もちろんやり過ぎて嫌われる事のないよう、加減はするけど。
『冗談だよ』
傍で横になっているガブリアスの頭を撫でながら、キバナくんの出方を窺う。
すると彼は出来上がった冠をそっと頭に載せると、手を重ねてきた。
「オレさまが！Aの好きなタイプが知りたい……です」
『キバナくんが知りたいなんて意外だね。そうだなぁ……、価値観を押し付けてこない人とか』
「容姿的な好みとかはあるのか？」
『特には。そうだキバナくんの好きなタイプは？』
「オレさま？」
自分が聞かれるとは思っていなかったのか、キョトンとした顔をする。
「髪が長くて、オレさまよりちっちゃくて、笑顔が可愛くて、それから……」
『細かいのね。まるで特定の個人のことを言ってるみたい』
「そうだけど？」
じとーっとした目で見られても困るし、それよりもキバナくんには好きな人がいるってこと？
知り合いだったら、嫌だな……。
「もう一つあった。どれだけオレさまがアタックしても気づかない鈍感さ！！」
聞かなきゃ良かったかも。
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作者名：くるとん | 作成日時：2023年2月24日 20時
