139 経緯説明�� ページ40
「結局、何も育たなかった。天候は良好、下の平野は異常なし。でも、ここだけはだめだった」
場所を変えるにしても、ここら辺で他にいい場所もない。そこで彼らが調査することになった。しかし、事態は良くならず、雑渡は秘密裏に外部──忍術学園に協力を依頼した。
「ってところか。他に聞きたいことはあるか？」
「もそ……今のところはありません。ありがとうございます」
「そうか」と彼は返し、近くの大きな岩に腰掛けた。
「委員長、これからどうしますか？」
「もそ……そうだな。農書の確認作業と周辺の環境を──」
誰かのぐ〜っと腹の音が鳴り響き、一同は今が昼頃だと気づいた。
「そんな時間か。飯なら忍者食でいいだろう。持ってきてるだろ？」
諸泉が懐から取り出した、馴染みのない食事。隣にいた不破へと顔を向けると、すぐに察してくれた。
「ああ、そっか。天女……じゃなくて、榎本さんは食べ慣れてないですもんね」
「ええ、そうなんですよね……すみません……」
申し訳なさそうに眉を下げてそう言うと、諸泉は大きくため息をついた。
「分かった分かった！何かしらあるはずだ。さっきのところに戻るぞ」
「ありがとうございます、諸泉さん」
家屋まで戻ると、縁側には雑渡がおり、ずずと竹筒からストローのようなもので何かを吸い上げていた。その側にはおむすびが何個もお盆に乗っていた。
「何でおむすびが……」
「彼女には忍者食はキツいと思ってね。それに、部下でもない忍たまの子達にまで食を強いる気はないしね」
中在家は頭を下げると、彼からお盆を受け取った。
「組頭！さっきも言いましたが、足を並べて座るのはやめてください！」
「ええ〜、いやだ」
士気が下がるやらなんやらと文句を言う諸泉の話を、右から左に聞き流している。ふと中在家の方を見ると、おむすびを前に何か話し合っている。
「もそ……雷蔵……──」
「はい、委員長……ええ……──」
相手が相手のため、警戒心が高まっているのだろう。教師がいない今、下級生を守れるのは二人しかいないというのもあるだろう。
(私がやるか……)
二人の目の前で、おむすびを手に取ると口に運んだ。
「えっ！？榎本さん、なにして──！」
唖然とする二人を横目に雑渡へと顔を向けた。彼もまた行動の意図を分かっているようだ。
「味はどう？」
「とても美味しいです」
「そう？なら良かったよ」
含みのある笑みがその目に見え隠れしていた。
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
