112 『い組の生物委員』 ページ13
それでも、途中で誰かに預けようと思っていた。下級生とは何度かすれ違かった(誰もが目を丸くしていた)が、流石に毒蛇のジュンコを託せはしなかった。
「あの、天女様。どうしてジュンコを首に……？」
一年生が恐る恐るとこちらを見上げていた。その後ろの壁に隠れている一年生の姿も見えたが、天女は彼に目を向けた。
「烏に襲われているのを見かけまして。少し怪我をしているので飼い主の元へ届けようと思い、ここに」
「わぁ、そうだったんですね！よかった……孫兵先輩、すごい探してたから」
「君は……もしかして生物委員？」
「一年い組の上ノ島一平です！」
「それならジュンコちゃんを頼んでも？」
「もちろんです！」
一平にジュンコを託そうと、背を曲げるが彼女はしっかりと首に巻きついたまま離れない。
「えっ、ちょっと……ジュンコちゃん……？」
ぽんぽんと優しく促すが、チロチロと舌を出すだけで動く様子はない。
「もしかしたら……天女様が助けてくれたってことを、先輩に教えてあげたいのかも！」
「えぇ……？」
(木下先生もそう言ってたけど、もう……)
心底めんどくさそうな顔をするが、ジュンコが離れないのならば致し方ない。
「三年生の教室を教えてもらえますか？」
「ぼくが案内しますよ！みんな、ちょっと行ってくるね！」
後ろに向かって彼がそう言うと、一平の前に一年生が三人、飛び出してきた。仲良し四人組なのか、同じ組なのか。確かい組とろ組は四人だったはずだ。
「だめに決まってる！こいつは天女様だぞ！」
「うん……せめて教えるだけにしたほうが……」
「きっとこうやって保健委員会を──あっ！」
「さ、佐吉ぃ〜！」
ビクビクと震えた様子で、天女を見上げている。天女の悪名とやらはしっかりと下級生にまで伝わってるらしい。
「みんなが不安なのもわかるよ。でも、あのジュンコが懐いてるんだよ？今までの天女様には威嚇してばっかりだったのに！」
(いや、普通は威嚇される気がするけど。飼われてる犬でも他人を威嚇する子はいるし…… )
「で、でもっ……」
「いえ、彼らの言う通りです。どこにあるかだけ教えて下さるだけでありがたいので」
一平は頬を膨らませた後、「分かりました……」と納得できない様子で、教室の場所を教えてくれた。
「教えてくださりありがとうございます。午後の授業も頑張ってください」
彼らは目を丸くした後、一平だけがハッとし、「はい！」と笑顔で返した。
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和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます〜！タソガレドキは毒を入れないとは二人も分かっているけど、上級生が毒味するのはあまりにもリスクが高く、下級生はもってのほか。なので、彼女がやるのが一番なんですよねぇ。 (3月30日 20時) (
レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
飴玉くん - 毒があるかもしれないおむすびを食べるなんて男気に溢れていますねぇ！今回の作品もとても好きです！！！ (3月30日 0時) (レス) id: bc84786978 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 凡人様さん» ありがとうございます！！楽しんでいただけるよう頑張ります！ (3月13日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
凡人様(プロフ) - すっごく面白くて最新話まで読み終えちゃいました！！夢主さんが誰にも靡かないで逆に利用してやる！！って感じのずる賢いところがとっても大好きです✨このシリーズが長く続きますように🕊️ (3月12日 5時) (レス) id: 2ec7772a57 (このIDを非表示/違反報告)
和三盆(プロフ) - 飴玉くんさん» ありがとうございます！彼女は立場も力も弱い人間なので、ずる賢く生きる必要があるんですよねぇ。 (3月5日 17時) (レス) id: 3efe28aec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和三盆 | 作成日時：2023年12月8日 15時
