｛銀魂｝３ｚ 学校一のモテ女は男性恐怖症！？２

80話：大切な人 ページ42

沖田side


夏「違うよ。
『自分』が『消えてしまった』からだ。」


詐欺師はあっさりとなんでもないように言った。



夏「prince君は聞いたことないかな?
記憶喪失になった人は性格がまるで変わってしまうこと。」

沖「聞いたことありまさァ。」

夏「それと似たような現象が起きているんだ。
記憶がなくなるとそれまで作り上げていた自分を捨てることになる。
男は捨てる時に心も捨てた、感性も捨てて、記憶があってもその時に思った感性はなくなった。
だから僕は笑うことも泣くこともできないんだ。
ただ、ひどいことに『恐怖』だけは感じるんだ。
それを消すために『知識』をつけたら、それがアダになる。だからまた自分を捨てる。
負のスパイラルだよ。」

沖「それを繰り返していくうちに自分がなくなるってことですかィ?」

夏「そのとおり。」

沖「なんでその大切な人のためにそんなことまでしたんでさァ。」


俺は一番の質問を詐欺師にぶつける。
大切な人も気になるけど。


夏「prince君は兄弟はいるかな?」

沖「姉上がいまさァ。」

夏「その人がピンチだったらどうする?
守るべき人が殺されそうだったら。」

沖「身を挺してでも守りまさァ。」

夏「princessのときもそうするだろうね。
身を挺して守ると言っても実際にあったわけではない。
実際、死んだら大切な人が悲しむし、罪悪感に襲われる。
殺そうとしている人を殺しても殺人罪だ。
どっちにしてもいいことはない。

僕も大切な人を守るために自分を殺した。

殺されそうなのは大切な人で殺そうとしていたのは他でもない僕自身だったからね。」


詐欺師の言葉は難しかった。

でも、詐欺師の大切な人はわかった。



＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿高杉



詐欺師は高杉のために自分を殺した。

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