嘘吐きな『』幸福論

理論8 ページ10

私が間接的に余命宣告をされた(であろう)ときから少し経った。
最近なぜか泉里お姉ちゃんも天馬もお見舞いに来てくれない。

もう、使えない駒はどうでもいい、って事だろうか。

もうすぐ死ぬであろう私には用無しだと。


そんな訳無い、と自分に言い聞かせて首を振る。
それでも、落ち着かず病室を出た。



「鸕宮…新……人を………らしい…ね」
「まだ……のに、可哀…に……」
「仕…ない…それ……宮の……やり方…」



ヒソヒソと小声で話す声が聞こえた。

「え…嘘、だ…」

所々聞き取りづらい事もあったが確かに聞こえた。




“鸕宮が新しい貴人を決めるらしいわね”




だから、泉里お姉ちゃんも、天馬、ここに、居ないんだ。
私がここに居るのは余命の短い者が当主になられても困るからだ。
あぁ、呆れる位に運が良い。




そして、良くともどちらかとはもう二度と会えないのだ。



なのに、私は___________







「い"や"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"っ！」





信じられない、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。




なのに、私は何をのうのうと生きているのか。
さっさと死ぬべき人は死ぬ運命にたたされる運命なのだ、この世は。


自分が余命が短いと分かった時は苦しかった。


でもそんなの鸕宮に産まれた以上は誰だってそうなのだ。



巫山戯んな巫山戯んな巫山戯んな巫山戯んな！









___________もう、









もう、早く死んでしまいたい。

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