アドラブル・バランス【K.N】 (ページ16)

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16.思わせ振りな自己中ページ16

この世の中には、たくさんの『見合った言葉』とゆーものが存在している。
もし、二宮さんにその『見合った言葉』を付けるのだとしたら。

「...思わせ振り...」
「えぇ？なんて？」
「い、いえ...何でも...」
「ふーん。あ、そっ」

二宮さんは、完全なる思わせ振りだ。

その事を自分で自覚しているのだとすれば、厄介な思わせ振り。
それ以上に、その事を自分で自覚していないのだとすれば、もっと厄介だ。

「あ、オレ良い事思いついたかも」
「...何ですか？」
「会社全体を案内してたら、半日はかかんだよね？」
「まぁ、はい...」
「だったらさ、高本さんがよく行ってる所だけ案内してよ」
「え...？」

私がよく行ってる所...って、言われてもな。

普段は、ほとんど広報部のオフィスから出ないから、よく行ってる所なんてものは全くと言っていいほどないようなもの。
社員食堂とか会議室...それくらい。

...ってゆーか、その前に。

「私がよく行ってる所を案内する意味って、あるんですか？」
「...あるんじゃない？」
「......絶対的に意味ないですよね？」
「あーあ...ホントに文句が多いね、アナタ」
「いや、別に文句じゃ...」
「はいはいはい！文句はもういいから！」

そう言って、無理やり私が喋るのを止めさせた二宮さん。

なんて自己中な人なんだ。
......ホントに私の上司で大丈夫なの？