それぞれのお話

乗り越えようF#64 ページ19

新聞を見て知った



谷口雄也今季絶望の記事




よく見ると右膝前十字靭帯損傷と書かれてあった






すぐさま雄也に電話をかけた






｢もしもし、A？どうしたん？｣






明るくいつも通りの雄也






『新聞、見た。なんで言ってくれんかったん？大丈夫なん？』







｢ごめん、心配かけたくなくて連絡しなかった。手術することなった｣






辛いのかだんだん声が小さくなる





『手術ってことは入院もするん？』





｢うん。まぁ何とかなるやろうとは思ってるけど、歩けへんし野球も出来んから暇やな｣






たぶん電話の向こうで泣いてる





『雄也、明日会いに行ってもいい？』







｢ダメって言ってもAのことやから来るとは思ってるけど、今会ったら俺たぶん泣く｣






とか言いつつも今も泣いてるんだろうな







『泣いていいよ。全部受け止めるから。そのために雄也の隣にいるんだから』






｢ん、ありがとう。じゃあまた明日な？おやすみ｣







そう言って電話は切られた






朝はすぐにやってきた





急いで支度して鎌ヶ谷へ向かう





寮に入ることは出来ないから近くの喫茶店で待ち合わせ





平日の昼間だから人なんていない




｢A｣





辛そうに笑う雄也が私を呼んだ





思わずぎゅっと抱きしめた






『うち何もできてないな。辛いよね、我慢せんと泣いていいんよ』




泣きたいのは雄也なのに私が泣いてどうする




そう思いながら腕に力をいれる




｢A、ありがとう。｣





肩に顔を埋めてくる




ふたりして号泣




店の人も私2人をずっと見てる





ひとしきり泣いて体を離した




『ふふっ、雄也目真っ赤やん』





｢Aこそ真っ赤やん｣





2人で吹き出した






『雄也、2人で乗り越えようね。どんな事があってもそばに居るから』

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