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応接室を出て、肩の力が抜けたように感じた。
あれだけ強気に言ったはいいものの、やっぱり歴戦の猛者…学長の威圧感は半端なものではなかった。
「ククッ、よく言ったね。期待以上だよ」
『…まぁ、ずっと納得いってなかったんで』
ポンポンと頭に乗る手を振り払いつつ、先生の顔をじっと見つめる。
_______さっきの、どういう意味だったのかな…
「なぁに、そんな熱い視線送ってもハグしかしないよ?」
『いらんです』
「即答とか酷いな〜」
そう言いながらもケラケラと笑う先生。
こんな人だし、特に深い意味なんてないか。
一人で納得して視線を前に戻した時、真剣な声色で名前を呼ばれ驚きつつも振り返った。
「高専に入学して任務にも慣れてきたら、言おうと思ってたことがあったんだ」
『え…なに、そんな改まって…』
「いいか、よく聞くんだ」
先生の顔から笑みが消える。
無意識に息を呑んだ。
「重力操術は、一度でも触れてしまえば勝ちが確定する術式で扱いが難しいってこと、A自身身にしみて分かってるだろ。
その術式を完全に会得してるというだけで、橘Aを上層部直属の特級術師にしろと言われてる」
【上層部直属の特級術師】
その言葉に思わず目を見開いた。
それは私の術式を欲してか、または恐れてか。
答えは両方だとすこし考えれば安易に想像がつく。
『それって…』
「勿論頑固拒否してるから、そこは安心して。
ただ悠仁の件でわかったと思うけど、上の奴らは腐った蜜柑のバーゲンセールだ。
何をしてくるか…どんな手を使ってきてもおかしくない」
『なっ、』
「すみませーん!!!」
深刻な雰囲気を壊すかのように、後ろから聞こえてくる明るい声。
パッと振り返れば、走り寄ってくる三輪ちゃんがいた。
「ん?あれ、京都校の…」
『2年の三輪霞ちゃん。久しぶりだね〜!』
「うん、久しぶり!さっきは驚いちゃったよ」
あんなことを言ってきてしまったのに、とくに敵対視されている様子はないようで一安心。
ごめんね、と一言謝ると何故謝るのか不思議な顔をされたけど、すぐにハッとして五条先生に顔を向けた。
「あっ、すみません!お話中でしたか?」
「いや、大丈夫だよ。何かお爺ちゃんに言われた?」
「いえ!あの…、一緒に写真撮ってくれませんか!?」
…ああ、彼女はミーハーだった。いい意味で。
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れおすけ(プロフ) - ちーさん» ありがとうございます!!!笑 また更新頑張ります!! (2021年11月10日 0時) (レス) id: 62ab6277f9 (このIDを非表示/違反報告)
ちー - 好きです!笑 (2021年11月9日 12時) (レス) @page38 id: ca5a92bd63 (このIDを非表示/違反報告)
れおすけ(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます!オチは自分の中でも未定ですので、今後も応援してくれるとうれしいです! (2021年4月19日 14時) (レス) id: 424d22639a (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - れおすけさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年4月19日 9時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れおすけ | 作成日時:2021年4月14日 23時