頂の景色 ページ25
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「くそー、上手くいかねー！」
タオルを返して手のひらを見る翔ちゃん。
その顔は笑っていた。
(…でも、さっきの手応え。
ボールの芯を捉えた時の手に伝わる“重み”。大好きな感触…！
もう一回、もう一回)
(もう一回、丁寧に。
スパイカーが最大限力を発揮できるトスを)
((もう一回))
２人とも…いや、この場にいる全員思うことは同じだ。
ドッ！
山口のサーブ。
それは龍のもとへ飛んでいく。
「オーライ！任せろ！！」
「ナイスレシーブ！」
「どうせまたチビに上げて失敗だろ。
田中さんだけマークしとけば──…」
月島がそう言ったとたん、翔ちゃんが勢い良く走り出す。
それを見た月島の表情がかわった。
「っ山口！お前も来い！！」
これでブロックは二枚。
それも、２人とも翔ちゃんよりも長身の。
(…“壁”)
─────いいか、打ち抜けないなら
(“躱す”)
「「！！？」」
２人の前ギリギリで、翔ちゃんは方向を変えて反対側に走り出した。
それに驚いて、月島は焦って翔ちゃんを追いかける。
─────長身の選手より高さで劣るなら
“１cm”を
“１mm”を
“１秒”速く
てっぺんへ！！──────
高く高く跳んだ翔ちゃん。
影山は方向転換したことに驚きながら、落ち着いてトスをだした。
─────そうすれば
今この瞬間だけ
ここがいちばん高い場所────
目を閉じながら全力でスイングする様子を見て、私は手のひらがボールの中心を捉えた感覚を思い出す。
ああ、懐かしい。
─────目の前にたちはだかる高い高い壁
その向こうはどんな眺めだろうか
どんな風に見えるのだろうか
俺独りでは
決して見ることのできない
これが───────
ゆっくりと目をあける翔ちゃん。
きっとその視界には
月島のブロックをかわしたこと
大地先輩が滑り込みながらレシーブしようとするも、コートに叩きつけられたボールがハッキリと見えているのだろう。
そう、まさしく
───頂の景色────
私を含め、この場にいる全員が言葉をなくした。
それは、想像以上にすごい攻撃だったから。
「「───オシ！！！」」
翔ちゃんと影山の声が、体育館に響いた。
＊
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れおすけ(プロフ) - ライチさん» 嬉しいコメントありがとうございます！また岩ちゃんとの両片想いを楽しんでください☺️ (9月11日 18時) (
レス) id: 62ab6277f9 (このIDを非表示/違反報告)
ライチ(プロフ) - コメント失礼します!!思わず一気読みしたのですが途中、『仁科ちゃんと岩ちゃんもう付き合えよ!!!』って夜中なのに思わず叫びそうになっちゃいました...ww続き楽しみにしています!! (9月8日 1時) (レス) id: b468f3d3be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れおすけ | 作成日時：2023年8月5日 2時
