【降谷零】死ぬほど貴方が嫌いです、だから結婚してください【安室透】

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『もし僕の知り合いに出くわしたら、君は僕の妻として安室Aと名乗ってくれ。大体の人間には伝えてあるから』



これも結婚当初に言われたルールの一つだ。てっきり初対面のフリをしろと言われるかと思いきや、彼は既婚者の設定で行くことにしたらしい。




｢じゃあそろそろ私達は失礼しますね。折角の夫婦水入らずなのに邪魔しちゃってすみません｣

｢構いませんよ。どうせ家に帰ったら二人きりですから｣



二人きりは二人きりだけど、お前は部屋に籠ってるから私的にほぼ一人の気分なんですよね。まぁ必要以上に会話をすることがなくて助かるが。


どうやらコナン君らしき子供を発見したようで蘭はぺこりとお辞儀をして去っていった。制服のスカートから覗く白い足がチラついて………





｢………｣



…もしや、もしや？


｢僕達も帰ろう｣と声をかけてきた降谷に頷く。そしてレジを済ましている間とある可能性に気付いたのだ。彼が私を女として見てない理由。




(単純に私の魅力が足りないんじゃ……)




己のこれまでの言動を振り返ってみろ。今朝なんて、寝起きのボッサボッサの頭で慌ただしくリビングに現れた妻に魅力もクソもあるわけない。

普段はなるべく毎日違う服を着るよう努力をしているしメイクもそこまで派手ではないと思う。




(まあ体つきは仕方ないとして、)



うん…理想の女性のボンキュッボン的なやつは無理だ。

戦闘に慣れている彼を殺すため日頃からトレーニングをしているので、キュッは何とかいけるとしてもボンはない。至って平均サイズ。




｢……大丈夫か？｣

｢へ？｣

｢さっきから上の空だぞ｣




貴方を誘惑する方法を考えてたの、なんて言えるはずない。端正な顔をぶん殴りたい衝動を抑えてへらりと笑ってみせた。

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