--家出-- ページ36
*
ーーーガチャン、と無慈悲にも閉められてしまった扉を茫然と見つめていた。
珍しく…というか、彼女が僕に対してあれだけ激高したのは初めてだった。
……それもそのはずで。結婚してから今に至るまでの数ヶ月間、彼女はいつも穏やかで、いつも僕に気を使っていた。もしかしたらずっと我慢させていたのかもしれない。
｢はぁ……、どうするか｣
スマートフォンは置いていったようだ。となると持っていったのは財布だけ。落ち着いたらそのうち帰ってくるだろう。
ーー生憎、令嬢とのしたくもない行為で僕も相当疲れていた。理由も分からず家を出ていった妻を追いかける気力は残っていない。
傍から見れば非情だなんだと罵られるだろうが、クタクタだった僕は玄関から目を逸らし踵を返した。
『………何も知らない貴方となんか一緒にいたくない』
｢……君が、話そうとしないんじゃないか｣
ソファに腰を下ろし、片手で顔を覆った。彼女を泣かせた原因は明らかに"僕"なのだ。だけど彼女に全く非がないわけではないだろう。
……僕達は、お互いに過去の話をしない。
幼少期どんな子供だったのか。
どんな友達がいたか。どんな夢を持っていたか。
分厚い壁で遮られているかのように、僕達はお互いに一線を引いている。
この家で彼女と過ごすのは夕飯時が多い。ぽつりぽつりと話はするが、話題はいつも彼女が振る。基本的に僕達は必要最低限の話しかしないのだ。
｢君は……"いつも僕を避けているな"｣
『あの、ごめんなさい。疲れてて』
言葉通りの意味ではない。妻は自分の意思で僕と距離を置いているのだ。だから決して本心を言おうとしないし、それを顔に出そうともしない。
何となく気付いてはいた。けれど、自分の過去の行いを振り返って、僕は口を噤んでしまうのだ。
｢はは、っ……本当に上手くいかないな。
ここまで俺が手こずるなんて｣
自嘲の笑みを零して、重たくのしかかる瞼を閉ざした。…彼女は今頃どうしているんだろうか。友達もいないはずだから、ホテルにでも泊まるのか？
…いや、候補はもう一つあった。
｢…………まさかな｣
ｰｰｰｰｰｰ…彼女は、本当に
僕のことを愛しているのだろうか。
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HALO - お互い実力は認めあってますし大丈夫ですよ！！同じ似た境遇ですからきっと共有すれば乗り越えられる素敵な夫婦になれますよ♪♪ (2019年3月21日 0時) (
レス) id: d6476dbe7d (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - HALOさん» そうですよね…！よいお友達になれそうです！きっと乗り越えられたら強い夫婦になれそうですね(´∇｀) (2019年3月20日 23時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
HALO - 降谷さんもきっと誤解を知ったら赤井さんといい関係築けそうですよね！！だから夢主ちゃんも乗り越えて降谷さんと幸せになって欲しいなぁと思います！ (2019年3月20日 23時) (レス) id: d6476dbe7d (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - HALOさん» ごちゃごちゃしてまいりました…wそうなんです！降谷さんが赤井さんをはちゃめちゃに憎んでいるのと似ているような感じにしたかったんです(語彙力)憎すぎて毎日降谷さんのことばっかり考えてたらいいなあとか思っております (2019年3月19日 17時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
HALO - 複雑になってますねw降谷さんもライが自殺を止められなかった事に対して殺したいほど憎んでいるのと同じな気もしますね!!夢主ちゃんが好きになってるなぁって思うし紙一重なのでしょうか？ (2019年3月18日 23時) (レス) id: d6476dbe7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：てな
| 作成日時：2019年3月1日 0時
