【降谷零】死ぬほど貴方が嫌いです、だから結婚してください【安室透】

--愛のない新婚生活-- ページ3

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｢今日は帰らない。夕飯も
食べれそうにないから作らないでくれ｣


｢…分かった。明日は大丈夫そう？｣

｢まだ予定が決まってないんだ。後で話すよ｣




童顔にそぐわない堅苦しい声色で淡々とそう告げて、そして私の顔も見ずに玄関のドアを開ける。もはやそれは毎朝のルーティーンと化していた。


行ってきますも言わずに遠ざかっていく背中へ｢いってらっしゃい｣と慌てて口にするのも、もう慣れてしまった。




｢いってらっしゃ…｣



今日は言い終える前にガチャン！と扉が閉まった。振ろうとした右手を力なく元の位置に戻す。


…いちいち落胆してる暇はない。私はソファに置いておいたエプロンを身に付けてキッチンに立った。持ち慣れた包丁を片手に。





ｰｰｰｰｰｰｰ信じてもらえないかもしれないが、私達は結婚して1ヶ月しか経っていない。俗に言う新婚夫婦というやつだ。

だが新婚と言うにはあまりにも冷めきっていて、まだお互いに相手を信用していなかった。





『悪いが、君のことは愛していない』



私の義父は警察官で彼の上司にあたる人物だった。だから私は降谷と結婚させてほしいと頼み、半ば無理矢理に婚約を結んだのだ。



彼は仕事がやりやすくなって、私は彼と結婚できた。


だけど彼は私との結婚生活にルールを作り徹底的に私を警戒した。上記のセリフは結婚当時降谷に言われたものである。




『自宅以外では安室透と呼ぶこと。必要に目立った行動をしないこと』

『それから僕の部屋には入らないこと…掃除もしなくていい』

『念の為すぐに出せるよう離婚届に名前を書いておいてくれ』




結婚相手である夫、降谷零は職業柄自分のテリトリーに入る人間をあまり好んでいないようだ。ましてや仕事で結婚した女なんて以ての外。




｢……っいた｣




考え事をしていたら刃先が指を掠ってしまい思わず肩を揺らした。絆創膏を貼っている最中、ふと左手の薬指に嵌められた指輪に触れてみる。



(ああ、早く………)









貴方を殺したい。

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