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男は私の手から包丁を取り上げてから赤井秀一と名乗った。不思議と彼が私に危害を加えるとは思えなくて、ソファに大人しく腰掛ける。
「君のことは浅見から聞いていたよ。話通り姉とは正反対だな」
「………目的は何。私を殺しに来たの?」
「いや?浅見と連絡が急に取れなくなってな。不審に思い日本に来てみれば、君の姉は自ら命を絶っていて、代わりに君がここにいた」
フー…と紫煙を吐き出した赤井を睨み上げ「貴方はお姉ちゃんの何なの」と問えば、彼は壁に預けた背中を離し私の元へ歩み寄ってくる。
ポケットに入れたままの手を抜き出した赤井が何かをおもむろに見せてきた。
「あの女は俺の元協力者だ。必要な情報を収集させて、それを定期的に報告させていた」
目の前に提示されたものは、FBIの警察手帳だった。筆記体でShuichi Akaiと書かれているのを見る限り赤井秀一というのは本名で間違いない。
一般市民に易々と見せるものじゃないだろう。…よほど私に信じてもらいたいのか。
「浅見は優秀な人間だった。……君はこれからどうするんだ、仕事もないんだろう。大人しく義母義父の元に帰るのが得策だと思うがな」
「再来年には人妻になる予定だから、生活面では心配がないの」
刺々しい私の声色を聞いて「ホー…姉が死んでからすぐに結婚とは、立ち直りが早いな」と赤井は皮肉げに笑った。
「………ねぇ」
「なんだ」
「頼みたいことがあるの」
「用は済ませた。結婚おめでとう」と言って部屋を去ろうとする赤井を引き止め、彼の手に握られたままの包丁を抜き取る。
「………」
ゆっくり刃の部分を首に当てれば、赤井は目を見開いた。崩れたポーカーフェイスで「待て」と口にする彼を真っ直ぐに見据える。
「私に、人の殺し方を教えて」
「……」
「イエスと頷かなければ私は死ぬ。どうする?」
この人はいい人なんだと、そう直感で思った。
咥えていた煙草をぎちりと歯で噛み締めた赤井が苦渋の声色で「…了解」と頷いたのを確認し。包丁の刃先を彼に向ける。
「殺したい男がいるの」
今でもその時の彼の表情は忘れられない。赤井は「馬鹿かコイツは」と言わんばかりの顔でため息をついた。
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HALO - お互い実力は認めあってますし大丈夫ですよ!!同じ似た境遇ですからきっと共有すれば乗り越えられる素敵な夫婦になれますよ♪♪ (2019年3月21日 0時) (レス) id: d6476dbe7d (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - HALOさん» そうですよね…!よいお友達になれそうです!きっと乗り越えられたら強い夫婦になれそうですね(´∇`) (2019年3月20日 23時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
HALO - 降谷さんもきっと誤解を知ったら赤井さんといい関係築けそうですよね!!だから夢主ちゃんも乗り越えて降谷さんと幸せになって欲しいなぁと思います! (2019年3月20日 23時) (レス) id: d6476dbe7d (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - HALOさん» ごちゃごちゃしてまいりました…wそうなんです!降谷さんが赤井さんをはちゃめちゃに憎んでいるのと似ているような感じにしたかったんです(語彙力)憎すぎて毎日降谷さんのことばっかり考えてたらいいなあとか思っております (2019年3月19日 17時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
HALO - 複雑になってますねw降谷さんもライが自殺を止められなかった事に対して殺したいほど憎んでいるのと同じな気もしますね!!夢主ちゃんが好きになってるなぁって思うし紙一重なのでしょうか? (2019年3月18日 23時) (レス) id: d6476dbe7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てな | 作成日時:2019年3月1日 0時