【降谷零】死ぬほど貴方が嫌いです、だから結婚してください【安室透】

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(………見なきゃよかった)




自分とは違う、真っ直ぐな恋心で彼を見ている佐伯。そんな佐伯の隣で優しい笑顔を含んでいる安室。……私よりよっぽど恋人らしい。


ーー買い物の帰り道に出くわしたのは、宣戦布告をされた例の女子高生と安室の姿だった。





｢あ、よかったら宿題手伝ってくれませんか？
数学がどうしても分かんなくて、｣


｢構いませんよ。佐伯さんは理数系が苦手ですからね｣

｢だって〜…｣





(……確かに、現役女子高校生の方がいいか)




太ももがチラチラ見え隠れするスカートも、片想いの相手を見上げる大きな瞳も。全部が全部私なんかより魅力的だ。

降谷だってヘラヘラしてるし。





(私がいくら着飾っても、貴方は褒め言葉すら口にしてくれない)




似合ってると苦し紛れに言われたことならあるけど。


ｰｰｰｰ愛してほしい。他の誰かにキスなんて出来ないほど。私がいないと生きていけないくらい。

……そうすれば、






｢…………｣





今日降谷の帰りが遅くてよかった。眠って少しでも気分を晴れさせないと。もし眠る前に彼の顔を見たら、迷わず包丁で刺し殺してしまいそうだから。





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『降谷さん。目標の身柄を確保しました』

｢ああ、｣




床に脱ぎ捨てられたシャツを掴んで袖を通す。首につけられたキスマークは擦っても洗っても取れそうにない。


ーーとあるデータを盗み出し、用済みと化した資産家は組織の手によって殺されるはずだった。

バーボンとして公安として、上手く罠を張りながら
無事に組織の目から雲隠れさせた。なので令嬢の恋人役を演じるのも今夜が最後だ。





｢………帰るか｣





思ったよりも迅速に事が済んでしまったので、取り敢えず帰宅することにした。


眠っている令嬢を起こさないよう足音を立てずに荷物をまとめる。また僕の素性が不透明になるよう、今夜僕がここにいたという痕跡を全て消し去った。

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