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「……」



思わず自室で項垂れた。きっと今頃彼女は困惑しているだろう。他でもない奇妙な夫に。




(なんでもっとスマートに言えなかったんだ…
絶対誤解してるよな……)




「似合ってるよ」と、得意のハニーフェイスで優しく微笑むところだったはずなのに。仕事ではいくらでも出来たのに、何故肝心の妻相手にどもってしまうのか。


あんな言い方では、たとえ穏和な彼女であっても怒るに違いない。それほど下手に口が動いてた。





(………どうして)





正直、服のことなんかどうでもよかった。彼女がどんな服を着ようがそれは個人の自由だし、夫の僕がとやかく言う権利はない。


僕が彼女に聞きたかったのは、"どうして今日あの男と一緒にいたのか"……である。




(彼女は特別仲の良い友人もいなかったはずだし…だとしたら、偶然知り合ったとか?
いや、でも普通初対面の女の腰を触るか……!?)





今日、僕はとある資産家のご令嬢を相手にしていた。公安としてではなく、バーボンとしての仕事であった。

組織を裏切ったその資産家から、あるデータを奪うべく、顔を知られていない僕ことバーボンに白羽の矢が立ったのだ。


まずは娘に気に入られ、そして父親に近付くという計画だった。



ーーーーーーーー…だがしかし。今日は夜まで令嬢と一緒にいる予定だったのだが、急遽それを断った。

彼女は不満そうだったが、耳元で甘い言葉を囁いてやれば顔を赤くして納得してくれた。やりやすくて助かる。



その原因となるのが、妻であるAであった。





『透さん、そういえば考えてくれた?私との結婚の話……。お父様が今度ぜひ紹介して欲しいってうるさいの』


『………結婚!!?』




僕の顔に夢中な彼女は当然気付いてないようだったが、聞き覚えのある声が店内の喧騒に紛れて耳に入ってきた。


出来るだけ彼女から目を逸らさないよう声の先を見やれば。ーーーーーー…妻と、沖矢昴が、同じテーブルで仲睦まじそうに対話していたのだ。



そしてあろうことか、バランスを崩したAの腰を引き寄せてにっこりと笑った沖矢と、確実に目が合った。すぐに逸らされたが。




「………あの男と、どういう関係なんだ……」





気になる。が、聞けない。
あまりに情けない自分が嫌になって、くぐもった呻き声を上げながら枕に顔を埋めた。


そして「夕飯出来たよ、」と呼びに来てくれたAが、なんだか少し不機嫌そうに見えた。

--新たなライバル--→←8



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HALO - お互い実力は認めあってますし大丈夫ですよ!!同じ似た境遇ですからきっと共有すれば乗り越えられる素敵な夫婦になれますよ♪♪ (2019年3月21日 0時) (レス) id: d6476dbe7d (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - HALOさん» そうですよね…!よいお友達になれそうです!きっと乗り越えられたら強い夫婦になれそうですね(´∇`) (2019年3月20日 23時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
HALO - 降谷さんもきっと誤解を知ったら赤井さんといい関係築けそうですよね!!だから夢主ちゃんも乗り越えて降谷さんと幸せになって欲しいなぁと思います! (2019年3月20日 23時) (レス) id: d6476dbe7d (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - HALOさん» ごちゃごちゃしてまいりました…wそうなんです!降谷さんが赤井さんをはちゃめちゃに憎んでいるのと似ているような感じにしたかったんです(語彙力)憎すぎて毎日降谷さんのことばっかり考えてたらいいなあとか思っております (2019年3月19日 17時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
HALO - 複雑になってますねw降谷さんもライが自殺を止められなかった事に対して殺したいほど憎んでいるのと同じな気もしますね!!夢主ちゃんが好きになってるなぁって思うし紙一重なのでしょうか? (2019年3月18日 23時) (レス) id: d6476dbe7d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2019年3月1日 0時

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