【降谷零】三度の飯より君が好き【安室透】

51 ページ9

-



『降谷さん、ジンの身柄を確保したそうです。
……アイリーンの手錠も解除完了しました』




｢そうか。ありがとう風見｣




ベルモット、キャンティ等の幹部達は
FBIと公安その他警察機関により無事拘束された。


ラムやジンの身柄はどうやら江戸川コナン君
もとい、工藤新一君の策略により
確保が成功したようだ。



予想どおりAはジンの元で
幽閉されていたようだ。先程赤井から連絡があり
脱出してきた彼女を保護したとのこと。





『…降谷さん。いいのですか』


｢……｣


『赤井秀一ではなく、
貴方が行くべきではなかったんですか』









｢今も昔も…アイツは
僕じゃなくて赤井を求めていたよ｣





"佐々木Aの保護をお前に任せる"

そう赤井に言って、酷く驚かれた。恐らく
見抜かれていたのだろう。僕があの女に
どんな感情を持ち合わせていたのかを。




｢……さて、後処理を始めるか｣




風見は腑に落ちない様子だったが
ほぼ強引に通話を切らせてもらった。
そして別の相手に電話をかける。






｢ｰｰｰｰｰｰｰ……もしもし降谷です。
管理官、無事組織の幹部を全員拘束しました｣








.









┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




｢……｣




病室で眠る彼女の白い頬を撫でて小さく息をついた。

どれだけ僕が必死こいて探したと思っているんだ。
人の苦労も知らないで、呑気に眠りやがって。




(…生きてる)





彼女が行方不明になって、母親と同じように
殺されているのではないかと一時は僕も疑った。
けれどすぐにその考えを打ち消したのだ。

なんとなく彼女が死ぬという
イメージ、実感がわかなかった。






｢……起きたら、説教だな｣





髪もだいぶ伸びて、頬が少しやつれていた。
あの男の元にずっと閉じこめられていたのだ。
きっと怖くて辛くて苦しかっただろう。


お前はもっと人を頼るべきだ、と勝手に緩む目尻を
そのままに、眠る彼女の額を軽く小突いた。








.

52→←50

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す