【降谷零】三度の飯より君が好き【安室透】

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you side



｢ｰｰｰｰｰｰｰ…元気で、｣


｢………ええ｣





遡ること数時間前。

私のわがままを聞き入れてくれた秀一は
飛行機に乗りアメリカに帰っていった。

彼は、降谷を選ぶと言った私を責めるでもなく
理由を問いただすでもなく、静かに
｢そうか｣とだけ呟き笑っただけだった。





(………？)






降谷からの抱擁を幸せな気分で受け止めていると
自身のスマホがピコンと通知を知らせた。
こんな時間帯に、と思いながらも画面を開く。






｢…秀一からだ｣





差出人は赤井秀一。いつの間に私の
アドレスを知ったのやら。彼の名を呟いただけで
ぴくりと肩を揺らした降谷に笑みが零れる。






｢…………｣








『今頃隣にいる色男に伝えてくれないか。
俺の分まで幸せにしてやってくれ、と』






メールの内容はたったそれだけ。彼がどんな
気持ちでこれを送ったのか、容易に想像が出来た。

彼なりの祝いの言葉と、謝罪の言葉なのだろう。







(…ありがとう、秀一)






｢元カレ気取りの奴にこう言っておけ。
"言われなくてもしてやるさ"ってな｣





肩口から聞こえてきたくぐもった彼の言葉に
らしくもなく照れていた。そんな
キザったらしい台詞を言われたのは初めてだ。





｢……私を挟んで喧嘩しないでよ｣

｢なんだ、照れてるのか？｣

｢悪い？｣

｢いや…悪くないな、こういうのも｣









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(………お母さん、)






やっぱり、私は心からこう思うのだ。









｢……零を選んでよかった｣









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