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「貴方はただの大学院生。どうして
拳銃を撃つ必要があるんでしょうか」
余程銃の扱いに慣れている証拠である。
途端に張り詰めた空気が流れて、
一応足をドアの方向へ向けておく。
「ホォー…」
「……」
質問に答える様子はなく、それは肯定と
受け取るべきだろう。面白そうに目を細めた沖矢が
腰を上げると今度はじりじりと近付いてきた。
「…警察呼びますよ」
「それは公安にいる旦那様の事ですか?」
びく、と肩を強ばらせてしまった私に
沖矢は「図星ですね」と爽やかに微笑む。
彼は一体何者なのか。怪訝に思い後退れば、
.
「………そんな顔をするな」
別人のような口調で柔らかに笑った沖矢を
もう一度睨み上げれば、「手厳しい」と
口にして私から離れていった。
「貴方を敵に回したくはない…それから
"彼に僕の名前を出さない方が身のためかと」
「……何故」
「良くて盗聴器、悪くて軟禁ですからね」
その言葉の意味が全く理解出来ず、
何の話だと言わんばかりの表情で沖矢を見やると
「はいどうぞ」といきなりタッパーを渡された。
「取り分けておいた肉じゃがです。
阿笠博士の家にも後でお裾分けする予定ですが…
余っては困るので是非持ち帰って下さい」
「…拳銃が撃てて、人の元夫を勝手に
詮索するような人間の手料理を受け取ると思いますか」
「はい、どうぞ。気をつけてお帰りください」
すっかり忘れていたが彼も人の話を
ろくに聞かない人種であった。綺麗に私の拒絶を
無視するとタッパーが入った袋を右手に握らせた。
「では、また会えるといいですね」
微塵も共感しないその言葉に、
ため息をついて頭を抱えた。
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てな(プロフ) - まゆさん» わーありがとうございます!気づくの遅くなってすみません…!感動していただき嬉しみです(´∇`) (2019年3月10日 22時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 完結おめでとうございます^_^面白かったです^_^最後は、すごく感動しました!これからも、頑張って下さい^_^ (2019年3月7日 14時) (レス) id: 406c27ad01 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - かずささん» ありがとうございます!結構端折ってた部分もあったので過去エピソードとか結婚後のお話を時間があったら書いてみたい!!と思ってます(゜▽゜) (2019年2月1日 23時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - れいさん» ぴえありがとうございます〜!50話を超えてしまったので気が向いたら続編を作ってみたいなとか思っております… (2019年2月1日 23時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
かずさ(プロフ) - 私も結婚後の生活の話が読みたいです!できるならお願します! (2019年2月1日 22時) (レス) id: 189adfe0dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てな | 作成日時:2019年1月20日 0時