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「なあ、なんだよその目…文句でもあんのかよ。
騙されたお前の母親が馬鹿なだけだろ!」



その日から元々酒癖の悪かった男は、母の
いないところで私に暴力をふるうようになった。
強く腕を引っ張られて、大声で怒鳴られて。




「っ、ごめ、なさい……」




いくら謝ってもやめてはくれなかった。

毎日母に愛を囁き私を殴り、笑いながら
嘘を吐く男が怖くて仕方がなかった。







「ーーーーーーーちょっと!!っ何してるの!?」



一度だけ、突然母が帰ってきた事により
男が私に暴力をふるっていたという事実が
明らかになった。やっと、解放されるのだ。


そう思った私を力の限り抱き締めたお母さんは
舌打ちを零す男にこう言った。







「この子の顔に傷が付いたらどうするわけ!?」




(………え?)




お母さんを見上げれば、
見たことも無いような顔で怒っていた。
でも、私を心配しているわけではなかった。




「いいA?ママは将来貴方に結婚させたいの。
ちゃんと安定した収入がある人と、
それでママを幸せにして欲しいのよ」




お母さんはまともな仕事に就けなく、
体を使った仕事でしかお金を稼げなかった。

つまり、









(………私は、お母さんにとって)




幸せになるための道具だった。



思えばいつも風邪をひいた時や怪我をした時
お母さんは看病もしてくれず男の人と出かけていたり、
ママに迷惑かけないで?と笑うだけだったのだ。


母は将来私を身分の高い人間と結婚させ、
自分の利益を得ることしか考えていなかった。






「分かってくれるわよね?
ママをこれ以上困らせないで。
なんでパパと仲良く出来ないの?」


「……でも」


「ママはこの人が好きなの、大切なの!!」







悲鳴混じりの叱責に体がびくりと揺れた。

母は、まるで私という存在は仕方なく
ここにいさせてやっているのだと
言っているようなものだった。






(…お母さん)




けれど私は、お母さんに捨てられたくなかった。

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てな(プロフ) - まゆさん» わーありがとうございます!気づくの遅くなってすみません…!感動していただき嬉しみです(´∇`) (2019年3月10日 22時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 完結おめでとうございます^_^面白かったです^_^最後は、すごく感動しました!これからも、頑張って下さい^_^ (2019年3月7日 14時) (レス) id: 406c27ad01 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - かずささん» ありがとうございます!結構端折ってた部分もあったので過去エピソードとか結婚後のお話を時間があったら書いてみたい!!と思ってます(゜▽゜) (2019年2月1日 23時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - れいさん» ぴえありがとうございます〜!50話を超えてしまったので気が向いたら続編を作ってみたいなとか思っております… (2019年2月1日 23時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
かずさ(プロフ) - 私も結婚後の生活の話が読みたいです!できるならお願します! (2019年2月1日 22時) (レス) id: 189adfe0dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2019年1月20日 0時

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