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第二十二話 ページ22



furuya side



「A、おは……」


「お話があります」




こっちの顔も見ずそうピシャリと言い放った
彼女の伏せられた睫毛の下では
グリーンの瞳がきらきらと輝いていた。

綺麗な目だ、なんて呑気にも惚けていたら
「………ちょっと」とイラついたように睨まれた。





「……アナタと恋人になることは無理よ。
私はアナタのことなんて眼中にもない」




「嘘だな。お前に本当の恋人が
出来たことなんて一度もない事は既に調査済みさ
………『分からない』んだろ?」





ひく、と目に見えた動揺を漏らした彼女は
相当参っているようだ。

俺の事を好きかどうかも分からないのだろう。





「それでも告白した時にあっさりと
僕をフラなかったのは何でだろうな?
…あの爆破事件で僕を庇って
命まで捨てようとした行為はどういうことだ?」





なぁ、と問い詰めれば
彼女は「いじわる…」と小さく呟きながら
ピンク色の唇を薄く噛み締めた。







「………降谷くんのことは、
正直少なくとも、………嫌いじゃ、ない、と思う」

「でも、アナタとそういう関係になることが
想像出来ないの。………だから」








「___分かった。じゃあこうしよう」





は?と目を見開かせたAを見据えて
依然では無理矢理上げていた口角が
自然と緩く持ち上げられた。








「俺の事を好きだという事を、
その身を持って分からせてあげようか」




「………随分と強気なのね。確証もないのに」




「愛に確証なんてないさ。少なくとも俺は、
お前の事を"ただの女"とは見れない」







「……」と押し黙った彼女が、
ふと俺を冷たい眼で見上げ睨んだ。





「ターゲットはいつもそう言うの。

まるで私がアナタに本気で惚れ込んでいると
確信してならないとばかり思って………
馬鹿な男は嫌いだわ、」




「ホー……僕と犯罪者を
同じ扱いにしないでもらえるか?」







それに、と続けながら彼女の
柔らかな左手をとり薬指を撫で上げると、
Aが冷たい瞳を僅かに揺らした。









「___愛する女の前では、男は皆馬鹿なのさ」







どうしようもなく惚れ込んでしまったようだ。



自分でもその理由は言葉で言い表せない、が


俺の心の奥深くに土足で乗り上げてくるのは、
いつだって赤井Aという一人の女なのだ。

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休校 - 半端じゃなく、面白かったです!笑 ありがとうございました! (2020年6月21日 17時) (レス) id: e4ab2b5df5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - こんな素晴らしい作品を作ってくださって感謝しかないです…!ストーリー構成が完璧で、赤井さんのシスコン具合も最高だし、なにより、主人公のキャラが好きです…!!!大好きです!ほんとにありがとうございます!! (2019年12月18日 20時) (レス) id: 7131cab108 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 四皇子さん» ありがたきお言葉…大感謝感激祭です… (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» わー嬉しいです!!気に入っていた作品なのでありがたいです〜(*゚▽゚) (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
四皇子 - 500評価から501評価にしてしまった、罪悪感、、 (2019年1月31日 16時) (レス) id: 3e09273f36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2018年7月8日 14時

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