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第二十一話 ページ21



you side




「秀一!!!」



呑気にも煙草を加えながら
まな板の上にある人参を切ろうとしていた秀一が、
キョトンと首を傾げる。

足音を大きく立てながら、
その手に握られている包丁を奪い取り
人参の上にダン!!と突き刺した。




「ホォー……随分と今日はご機嫌ナナメだな」



「なんで降谷くんに話したの。私のこと!!」




そう怒っても、ふー…と私の顔に向けて
大量の煙を吐き出すだけだった。
鼻がもげるような煙草の匂いに
顔を歪めてしまった。






「くっっっっさいわね!!!大っ嫌い!!」



「そう言わんでくれ。安室くんなら
君を真っ直ぐに見てくれる、そう思ってね」





つい話してしまったんだ、と
謝る気なんてさらさら感じない表情で
まな板に刺さった包丁を片手で軽々と抜いた。

「クソゴリラ」と膨れっ面で言えば、
少し目を見開いた後に「それは心外だな」と
顎に手をやった。





「………、分かんないの」


「ん?」








「………恋人ごっこは何十回もこなしてきたのに、
…本当の恋の仕方なんて分からないの。

降谷くんのことを恋愛対象として
見ているのかどうかも、分からない」







呆れるわね、と自嘲気味に薄ら笑えば
秀一がはあ、とため息をついた。





「簡単なことだ。
安室くんとそういう関係になることを
イメージしてみるといい。………嫌か?」




「………降谷くん、と」





キスもしたし、体の関係も持った。
順序は完全に間違えたが。

降谷くんと恋人同士になり、降谷くんと結婚する。






「…………全く想像がつかないわ」




「さすが俺の妹だな」






まずあの男が自分の傍で
微笑む姿なんてまったく想像がつかない。

降谷くん、といえば思い浮かぶのは
不機嫌そうな顔か、あの胡散臭い笑顔。







「………逃げてばかりじゃ、駄目よね」







降谷くんとはあれ以来私が逃げ続けるせいで
会話すら交わしていない始末。
このままでは事態は悪化するばかりだ。

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休校 - 半端じゃなく、面白かったです!笑 ありがとうございました! (2020年6月21日 17時) (レス) id: e4ab2b5df5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱる(プロフ) - こんな素晴らしい作品を作ってくださって感謝しかないです…!ストーリー構成が完璧で、赤井さんのシスコン具合も最高だし、なにより、主人公のキャラが好きです…!!!大好きです!ほんとにありがとうございます!! (2019年12月18日 20時) (レス) id: 7131cab108 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - 四皇子さん» ありがたきお言葉…大感謝感激祭です… (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
てな(プロフ) - たんぽぽ珈琲さん» わー嬉しいです!!気に入っていた作品なのでありがたいです〜(*゚▽゚) (2019年2月4日 12時) (レス) id: 46f0755694 (このIDを非表示/違反報告)
四皇子 - 500評価から501評価にしてしまった、罪悪感、、 (2019年1月31日 16時) (レス) id: 3e09273f36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てな | 作成日時:2018年7月8日 14時

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