11 ページ11
また音は分からないのに意味はわかる、気持ちの悪い問いかけ。
《私はただ、この星を守りたいだけ》
「呪いの戯言だ。耳を貸すな」
「低級呪霊のソレとはレベルが違いますよ」
攻撃もせず、特級呪霊は語り続ける。
《森も海も空も、もう我慢ならぬと泣いています。これ以上人間との共存は不可能です。星に優しい人間がいることも彼らは知っています。しかし、その慈愛がどれだけの足しになろうか》
森林伐採、海水汚濁、大気汚染…例をあげればキリがない、現代社会の問題。
《彼らはただ時間を欲している》
「独自の言語体系を確立してるんです」
《"時間"さえあれば、星はまた青く輝く》
「…狗巻を下がらせろ」
その時、一瞬私の脳裏に浮かんだ光景。
森に囲まれた平屋。
百合が見える縁側。
誰か、誰かがそこに__
私はこんな光景しらない。こんな家は住んだことない。
なのに、なのに何故。
こんなにも懐かしく感じてる…?
《人間のいない"時間"。死して、賢者となりなさい》
私の脳裏に浮かんだ光景、そのことを考えてる時間は、特級呪霊の猛攻によりなくなってしまった。
.
建物の中に入ってひたすら逃げて、攻撃してを繰り返す。
「大丈夫ですか、狗巻先輩」
「しゃけ」
とげ御用達ノドナオールを飲みながら答える。
「来るぞ!」
飛ばされてきた木が一直線に私たちに向かって鋭く伸びる。
「" 止 ま れ "」
「百斂、穿血!」
ピタリと止まったその隙にのりとしが攻撃を打ち込み、それは相手の目の木を掠める。
「傷、つけた…!」
「俺と戦った時は全然本気じゃなかったのか…」
「急げ、どうせすぐ治してくる」
「ゴホッ…」
新しいノドナオールをとげが一気に飲み干す。
今はとげが動きを止めて私たちで攻撃することで、均衡が取れてる。
けど、とげの呪言だって絶対じゃないし、限界だってある。
さとるとかに連絡したいけど、そんなことをしてる隙がない。
どうしよう、それにほかのみんなは…?
「一旦外出るぞ!A、足大丈夫か?」
こくりと頷いて、外へ飛び出す。
最初の時に太腿が切れてずっと血が止まらない。
それに呪力ももう底をつきそう。
赤帝たち五帝をずーっと出しっぱなしにするのは辛い。今、赤帝は構築を解除しているおかげで、まだ呪力に余裕はあるけれど、あと1回五帝を構築すれば呪力がほとんどなくなる。…危険な状態。
420人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さんめーとる | 作成日時:2021年3月8日 18時