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「玉犬、渾」
めぐみが出した玉犬は、1度破壊されてしまった白が黒に引き継がれたもの。
もう白とは会えないけれど、こうやって力は引き継がれていくんだ。
「もうじき西宮が来るだろ。棘と憲紀は回収してもらえ」
「はい。玉犬、先に行け」
めぐみが命じるや否や、渾は駆け出した。
「よし、私達も行くぞ恵。Aはここで待機だ」
「やだ」
「やだって…怪我してんじゃねえか」
「めぐみも、してる」
そう言うとまきははぁ、とため息をついた。
追い打ちをかけるように、私の術式の一つである百虎は金が元素だから、剣が折れてもまた作れると伝えれば、「わかったよ」としぶしぶながら了承してくれた。
ただし、怪我した2人を魔女さんに引き渡してから、という条件付き。
話終えるとまきとめぐみはすぐに川の方へと飛んで行った。私も早く行かなきゃ。
「加茂くん、狗巻くん!」
その時、京都校の魔女さんが箒に跨って飛んできた。
「魔女さん、硝子のとこ…つれてっ、て」
「わかってるよ、貴方は?まさか応戦に行くの!?」
こくりと頷けばぽかんとした顔をされた。
なにか言いたそうな顔だったけれど、2人を早く運んだ方がいいと思ったからなのか、それ以上何も言わず2人を箒に乗せた。
「気をつけてね」
その言葉にもう一度頷いて、私は屋根から飛び降りた。
「白帝」
移動しながら白帝を構築する。
もう呪力が残り少ないから長く留まらせることは難しいけれど、短期決戦に持ち込めれば大丈夫。
「援護…できる?」
『任せてくれ』
そういうなり白帝は空中で弓を作ってひく。
ここから呪霊までの距離はそう近くない。
けれど白帝ならピンポイントで当てるだろう。
私の予想通り、白帝が放った矢は真っ直ぐに呪霊の元まで飛んでいって、めぐみをつかもうとしていたその手を射抜いていた。
白帝が真正面からまき達の援護に行ったのに対し、私は背後を取るように回り込んで応戦する。
《また増えてしまいましたね。離脱したと思っていましたが》
相変わらず気持ち悪い感覚を無視して、呪霊の弱点を目掛けて切り込んでいく。
「A、1度退け!!」
まきの言葉に後ろに飛んで距離をとると、
めぐみとまきが連携を決めて呪霊に重い一撃を打ち込んだ。
「追い討ちをかけろ!」
その言葉を聞くや否や、今度は私と白帝でもう一撃、呪霊に打ち込んだ。
バツン!と大きく音が鳴った。
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作者名:さんめーとる | 作成日時:2021年3月8日 18時