世間では桃色王子とか言われてるけど私にとっちゃただの腐れ縁

寝床 ページ5

「A？」



さとみが下から声をかけてきた



泊まる時はいつも私のベッドの下に布団を敷いて寝る


年頃の娘の部屋に年頃の男子を寝かせる親ってなんなん？





『なに』



「起きてる？」



『ぐっすりちゃんです』



「いやしっかり起きてるやん」



じゃあ起きてる？って聞くな





『なによ』




「俺さ…」





さとみはたまに私に悩みを打ち明ける




活動のこと、



仲間のこと、



ファンのこと。



一方的にしゃべって、勝手にスッキリして、明日もまた頑張るわって終わる




わたしは聞いているだけ






さとみの仕事はよくわからない




だけど、コイツも苦労してるんだなって時々同情する








「そだ、来月ライブあるからさ。見に来いよ、コウジさんとりっちゃんと」



さとみは昔から私の父をコウジさん、母をりっちゃんと呼ぶ





『えー、いいよ私は』



たまにこうやって誘ってくれるライブ



父と母は必ず観ているが私は行ったことがない




『よくわからないしさ、おとぷりだっけ？』



「は？すとぷりなw」



『あ、ごめんごめん。

ほら。名前すら覚えてないし曲もわからないのに観に行くのは失礼でしょ』




「は？おまえ俺がいつも渡してるCD聴いてないの？」




『聴いてないや』




「は？」




『ごめんて！だからいつも言ってるじゃん、いらないよって』




「普通聞くやろ？友達なら」





『ともだち…私とさとみが？？』







「疑問形にすんな」

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