世間では桃色王子とか言われてるけど私にとっちゃただの腐れ縁

夢 ページ36

“好きだよ”


詩央里くん？



“ねぇA、しおりと別れてよ”





違う、この声はさとみ




さとみに手を押さえつけられて身動きができない



やめて、離して



もがいた瞬間さとみが消えた




あ、これは夢？


そうだ。これは間違いなく夢だ


ああ、よかった夢で


幼馴染とおかしな関係にはなりたくない





私はゆっくり目を開けた




え？





『…さと……』





ベッドに横たわる私に跨る幼馴染




『え？』




夢と現実の狭間で混乱する




父と飲んださとみは例の如く私の部屋で寝て…


そこまではいつもと一緒




じゃあこの状況は果たして？



下からさとみを見たのは初めて



前髪の隙間からのぞく瞳が綺麗だ。と、のんきなことを考えている場合ではない





『さとみなにして…』



「しゃべんな」



私の口を手で塞いだ



なにごと？酔っぱらいの茶番？






「ねぇ、幼馴染と彼氏のキスシーンなんか見せられちゃ興奮しない方がおかしいやろ」




『！！？』



見てたの


さっきのあれを





「ね？俺にもさせてよ」



させてよ、、なにを




口に手を当てられていてはしゃべれない




「A」


口から手が離れ、さとみの顔が近づいてくる






『…や』




『やだ』





「あ？」




『あんた彼女いるでしょう』





『ライブんとき髪拭いてくれてた人、彼女でしょ。

知ってのとおりこの手の勘は外した事ないの』




綺麗な女性、お似合いだった




「ブー。ハズレ

おまえの感なんて大した事ねーな」




『うそ！？』



「俺、好きなやついるし」



そう言って私を解放した



『…あそなんだ。ごめん』



さとみに押さえられていた手首がジンジンした

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