【SLAM DUNK】山王工業のもう１人の天才 Ⅱ (ページ21)

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宴の終わりページ21

寮のベッドでゴロンとしながらAは考え事をしていた

もしかしたら、朝早くから皆のお弁当を作ったり、実行委員の仕事や予想以上に走らされたり、笑ったり、片付けも色々あったし、思ってる以上に疲れたのかもしれない

『…はぁ』

体育祭自体は勝ったはずなのに、嬉しいはずなのにAの気分は憂鬱だ。打ち上げに行く気力とか無いしそもそもお金もあんまり無いしバスケ部だし

でも１人でいると余計なことを考えてしまうのは自分の悪い癖だと思うけど稽えてしまう

「そーうーげーつー」

そんな時に沢北の声とガチャリと開くドアの音が耳の鼓膜を揺さぶった。Aは起き上がる気にもなれず寝転がったまま『んー？』と適当に反応する

「メシ、持ってきたから食おうぜ」

『…あんがと』

素直に礼は言うものの起き上がろうとする気配がないのを感じたのか沢北は苦笑いしつつAの手を取り引っ張り上げた

『つーか持ってくるの大変だったろ。重いし』

「いやー？別に蒼月あんまり食わない方だしなー」

テーブルの上にはまだ湯気の立つ味噌汁が。それを見て出来立てを持ってきてくれたのかなと沢北の気遣いに少しだけ心が明るくなった

その匂いにAも食欲が湧いてきた。箸を手を取りそのまま啜る

『はぁ〜沁みる…』

「…今日は別人のようだな」

『さぁね…これがいつもの俺だよ』

「ふーん」と言いつつ沢北もご飯を掻き込んでいく。よく周りからは自由人だとも言われた。もしかしたらあの人に染められたのかもしれないけど、自分もかなりの気分屋だと思うときもある

「…あ、明日から普通に練習に参加するな。俺等」

『…そう言えば…そうだな』

「ちょっとだけ楽しみかも」

呑気に笑いながら鮭の塩焼きを食べる沢北に少しだけイラッとしつつもAも先輩達の顔を思い浮かべていた

＿＿＿『…まさか俺が居なくなったあとのことがお題になったとはな』

そろそろ本格的な夏がやって来る。それはつまり、大きな大会を意味することはAもわかっていた

波乱がなければ、加賀海さん達はまだいることができるんだ…

「俺は、まだ加賀海さん達とバスケがしてぇ。だから…頑張らねぇと」

『…俺もそう思うよ』

互いが互いに決意したのは良かったものの、後日沢北とAには大きな事件が待ち受けていたのだった