【SLAM DUNK】山王工業のもう１人の天才 Ⅱ (ページ17)

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沢北の借り人ページ17

Aがサッと逃げる体勢を取るのを見ていたのか沢北が叫んだ

「待って！！蒼月！！」

『嫌だ！！誰がこんなレース走るか！！』

Aは喚いて逃げ回ったものの沢北の足に勝てるはずもなくあっさりと捕まってしまった。ぐぬぬぬと悔しそうな顔を浮かべる意地の悪いAは最後の抵抗を取る

「蒼月…お願いだから走ってくれよ」

『やだ俺疲れた！！もう走りたくないの！！』

既に沢北から逃げ回ってかなりの体力を消耗していた。完全に息は上がってるし、足も痛い。しんどそうなのは誰が見てもわかる筈だというのに

『そんなに俺がいいのかよお前はよ』

「…っ、あぁ！！そうだよ悪いかよ！！」

『開き直んな！！』

茶化すはずが馬鹿な沢北が本音で返すのでこちらまでなんか恥ずかしくなってきた。深津さんといい沢北といい…一体何なんだ

沢北は顔を赤くさせつつも中々動かないAを見て何かを考えている

「…わかった。走ってもらうのは諦める」

そういって沢北はAの腰に腕を回した。違和感を感じたAが訝しげに聞く

『…ん？沢北、何この手は。諦めたんじゃ＿＿＿』

「さぁな？ついてきてもらう事を諦めたわけじゃねぇぞ」

沢北はニヤリと笑った。そのままひょいとAの体を抱える。つまり、この体勢は…

Aが理解してやめろと叫ぶ前に沢北は駆け出した。顔を赤くしたAが悲鳴に近いような声を上げる

『なんでこうなるんだよー！！！』

「黙ってしがみつかねぇと振り落とすぞ！！」

沢北はそういって笑顔でスピードをあげた。本気で振り落とそうとしてるのかコイツ＿＿＿！！

Aは必死に沢北の体に腕を巻き付けて落とされないように必死に抱きかかえられるだけだった。何という醜態を晒してるんだ俺は…

Aは最早死にたくなってきていた。自分の借り物競争にしろ、深津さんにしろ、沢北にしろ…なんで俺の周りには変な出来事しか起こらないんだ

後半は沢北の出すスピードについていけず死んだ顔をしてゴール。実況の人が面白そうな顔をしてマイクを向けてきた。あれ、なんだろ殺意が湧いてくる

＿＿「沢北選手〜！！斬新は運び方、見事でした！！お題は何だったのでしょうか？」

そんな言葉に、沢北はお題を思い出したのか少し照れながらも紙を差し出してきた。Aはその紙を奪い取るようにして見た

『お前、これ＿＿＿』