#22.見栄っ張り ページ23
騒動後、場は居酒屋へと移動した
さっきの事を思い出さなければいいけど、『また会いに来る』って言葉が離れない
だからと言って、みんなを巻き添えにしたくない
兎原)えぇっと、…本当に大丈夫だったの?Aちゃん。
「え、えぇ。あはは」
まずい。これじゃまた、空気の場を悪くしているような。
裏道)…場の空気を悪くしているとか、俺たちに迷惑をかけているとか、考えなくていいんだよ。本当に辛かったり、しんどかったりする時はさ、頼ってもいいんじゃない?
薄く微笑む裏道さん
その横で頷くみんなを見て安心した
池照)あの、少し気になる点があるのですが
詩乃)どうしたの?池照お兄さん
池照)先程の男性とAさんに、なんの関わりがあって近づいてきたのでしょうか。皆さんなら知っている様子でしたので
「っ、」
そういえば、池照さんは知らないんだよね
そう考えれば私、池照さんには隠し事ばかりして、心配かけるばかりで
自分の事、話したこと無かったっけ
兎原)いや、それは……
詩乃)ま、まぁっ、こういう業界で働いていたら、よくある事なんじゃないかな〜?
池照)…そうですか。
池照さんには助けて貰ったり、気にかけてくれたり。私の弱味に手を差し伸べてくれる人で…
幼い頃からの癖なのか。心配されたり、優しくする人に対して、いつも見栄っ張りしてしまう
ただ、池照さんにはそれよりももっと別に、……
池照さんに目を向けると、1人落ち込んでいるかのように下を向いたままだった
こういう時、私から声をかけられたらとか。差し伸べてくれる手を振り払う事しか出来ない私に、そんなこと出来るはずがない
池照さんにだけは、不安になっている自分や、弱い自分を見せたくないという見栄を立ててしまう
なんで?……さっき彼に助けて貰った時、安心したし、嬉しかったと思ったのに
何で。いつの間に、池照さんには完璧な自分を見せたいと思ってしまったんだろう
池照)さん、Aさん?
「っあ、はい?」
池照)大丈夫、?顔色悪そうだったよ。
何でそうやって、優しくしてくるんだろう
他人事で負担掛かるのなら、見捨ててしまえば楽になれるのに
「大丈夫。少し考え事していただけ」
だから、私。池照さんの言葉には弱いんだ
119人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひな林 | 作成日時:2021年6月5日 8時