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#20.怪しい人物 ページ21

池照さんと詩乃さんが撮影を終えたらしく、待ち合わせであるロビーの外に待機していた

裏道さん達は出木田さんに呼ばれているみたいで、1人真っ暗な外を眺めていた


他の撮影帰りだろうか……

スタッフさん達が帰っていく様子が見えた
こんな時間まで、本当にご苦労様です。


そろそろみんな来るかな…

詩乃さんに連絡を入れてみようとした時だった




『元フィギュアスケート選手の…園川 Aちゃん。だよね?』




気味の悪い声に思いっ切り振り返った

カメラを持ち、目立たない服装と怪しい目付き
それに加え、じわじわ襲いかかってきそうな雰囲気を放っていた




「…どちら様…でしょうか。」



『いやぁ、本当に教育番組のお姉さんをやっていたとはねぇ。…噂だと、マスコミの偽が原因で辞めたとか。…そこのところ、暴き出せたら儲かるからねぇ、ウチ。』



週間雑誌?…間違いない
けど今更私になんの根拠があって。嫌だ、嫌い。怖い…




「いい加減にしてください。其方に都合良くても、私からしたら迷惑ですっ、…」



『へぇ。……なら、父親に聞く方が早いのかな?』



「ッ…なんで、父の事を」



『行方不明になったとか聞いたけど、その様子じゃ本当みたいだねぇ。…君も会いたくない?居なくなったお父さんに』




プライベートの事まで知られている
真逆と言いたくないけど、父の居場所自体把握しているんじゃないのか

嫌だ、怖い…っ、逃げなくちゃ




「ッ、これ以上問題にさせるような行動はやめてくださいっ。」




竦む足を後ろへと動かして逃げる体制をとると、男は腕を掴んできた

痛いっ、怖いっ。誰かっ……



「いやッ、!」



『ッ逃げるんじゃねぇぞ』




だから嫌いなんだ

こう言う人達みんな、他人の情報を利益にばら撒き出す

今の人生が崩れるなんて、……もう限界だ




池照)なにしてるんですかっッ!




怒鳴るような大きい声と、手を振り払われ誰かの胸に包まれる感覚


優しくて、暖かくて……安心する




「ッ……、池照さん。」



強く鋭く睨む姿に胸が鳴った

こういう時に何感じているんだろう、私。



怖くて、後ろから抱きしめてくれる池照さんの腕を、強く掴んだ

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作者名:ひな林 | 作成日時:2021年6月5日 8時

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