#13. 兎原の期待 ページ14
撮影が終えた池照は、スタジオから出た
その途端一緒に出てきた兎原と熊谷は、着ぐるみ姿のまま、池照の肩に腕を回した
兎原)なんだよなんだよ、池照くん！さっきの願い事、俺らも入ってなかったのかよ〜！
熊谷)おい、兎原。首絞めすぎだ
池照)えっと、…なんのことですか？
池照の反応に、兎原は表情が固まった
何しろ、さっきの台詞。……
『これからもAお姉さんと一緒にいられますようにって願ったんだよ。』
誰が聞いても、一人称。
兎原)さっきAちゃんの代わりに、池照くんが言った言葉だよ！
池照)……あぁ！願い事のことですか。
熊谷)(それ以外何があるんだ…)
池照)それは勿論、皆さんとこれからも一緒にいたいと思いますよ！
ニコッと微笑む池照に、兎原は戸惑った
素直なところはいいが、そうならそうと子どもに言えばよかったのでは？と……
熊谷)もういいだろ、兎原。いくら寂しいからって、池照を揶揄うな。
兎原)酷い！
揶揄うつもりは無かったが、もしかしたら照れるのではないかと期待していた兎原。
裏道)そんなところで何してるの
兎原)っあぁ！裏道さん聞いてくださいよ！！
熊谷)おい、兎原。…裏道さん、お疲れ様です。
裏道)うん。…それで何？兎原。
兎原)池照くんの願い事ですよ！裏道さんも聞いてて何か思いませんでした！？
なにか？……と悩んだ先、裏道はある発言を口にした
裏道)だってあれだろ？池照お兄さんは、Aの事が好きだからでしょ？
裏道は、仕事仲間としてという意味で言ったつもりでいた
が、3人からはそう捉えることは無かった
兎原)ちょ、……何言ってるんすか〜！
熊谷)裏道さん。そこは、察してあげてください
裏道)え、……いや、仕事仲間として言ったんだけど。
顔を見合わせる3人は、何も言わない池照に目を向けた
何となく、池照はこの話を聞いてないだろうと軽く裏道に注意した2人だが…
池照)ｯ、え。
3人)))……え？
池照の顔は赤く染まり、その姿を見た3人は固まった
真逆というタイミングで、兎原の期待が叶ったからだった
池照)…す、すみません。俺、詩乃お姉さんと新曲の打ち合わせがあるので。お先に失礼しますね。
裏道)え、あ。うん。お疲れ
即座に廊下を歩いていく池照を、3人は黙然としたまま見つめているのであった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 119人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひな林 | 作成日時：2021年6月5日 8時
