�� ページ21
これで今彼氏がいないなんて、珍しいこともあるもんやなぁと思う。
彼氏は一年くらいいないらしい。
どうも別れた理由が、彼の浮気によるものだったみたいで、あまり深く聞けず、それでも今会ってくれているということは、少しは脈アリと捉えていいんだろうか…
彼女の心に入れるのか心配になって、つい、黙り込んでしまう。
「…月が、綺麗やねぇ」
彼女が呟いて、聞き逃しそうになって慌てて、そうやなぁ、と返した。
そうやなぁ、じゃないやろ！！
もっと面白い話せな。
俺は芸人やろ、しっかりせぇ。
酔っ払った頭で、なんとか君がここにとどまってくれるようなセリフを考えるけど、全く浮かばない。
水田くんなら、ロマンチックに言うんやろうな、
山名くんは、恥ずかしくてもきっとちゃんと言う。
秋山くんはスマートに誘うやろうなぁ。
河井くんは、きっとAちゃんがドキドキするようなかっこええセリフを言うんやろ。
稲ちゃんは…
稲ちゃんは、えーと、まぁええか。
どうしようあと少しで着いてしまう。
駅まで歩いて3分。
ちょっと近すぎたかぁ。
もう少し、遠くても良かったかなぁ。
隣を歩く彼女の横顔を覗く。
黒い髪がふわふわしてて、可憐な唇は機嫌が良さそうに口笛を吹いている。
可愛くて、綺麗で、少し見惚れてしまう。
なぜか少し恥ずかしくなって、コロンと石を軽く蹴ると、Aちゃんの方に転がってしまった。
すると、Aちゃんは俺の方に転がしてくる。
よっしゃ。
この石を、駅まで二人で蹴り続けられたら、
『このまま明日まで一緒にいてくれませんか』
って言おう。
小学生みたいやな、って頭の中で水田くんが言ったけど、それは無視する。
コロン、コロン、とそんなやり合いが続く。
Aちゃんも、何も言わずに付き合ってくれてる。
駅が見えて、ドキンッと心臓が鳴った。
その拍子に石は変な方向に飛んでいってしまった。
(あーーーーーーー)
「賢志郎さんの負けやね」
Aちゃんが少し小走りで俺の前に出る。
「じゃあ、また」
バイバイ、と手を振ってしまうので、慌てて追いかけて彼女の腕をとる。
「…下まで送るわ」
Aちゃんの腕を引いて階段を下っていく。
「………」
Aちゃんは何も言わずについてくる。
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←��
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ニコ(プロフ) - スイレンさん» 感想ありがとうございます！そう言っていただけると、とても嬉しいです！！本当にありがとうございます！(^^) (2019年2月19日 11時) (
レス) id: 3823045005 (このIDを非表示/違反報告)
スイレン(プロフ) - キュンキュン通り越してボロ泣きでした（；＿；）話の構成とか言葉選びすごい好きです！次も楽しみにしてます！！頑張ってください^ ^ (2019年2月18日 23時) (レス) id: 385caaf0e3 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - みかんさん» 感想ありがとうございます！励みになります！ (2019年2月16日 17時) (レス) id: 3823045005 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても、キュンキュンしました！！！続きたのしみにしてます！忙しいかと思いますがお体に気をつけて頑張ってください！応援してます。 (2019年2月13日 21時) (レス) id: 5d7a0dace4 (このIDを非表示/違反報告)
くおん(プロフ) - よこるなさん» 変換がうまくいってなかったみたいです。すみません。直しました！ (2019年2月7日 10時) (レス) id: f203054266 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くおん | 作成日時：2019年1月31日 20時
