72話 ページ32
「また焼肉か…文句は言わないけど」
この短期間に2度目だよ。現在、米屋と緑川に加えて、村上先輩がいたことで鈴鳴第一とも焼肉である。村上先輩とは戦わなかった。未来が変わったら困るし、対戦を申し込まれてないしね。
「来馬先輩、お茶を持ってきました!」
その声の主と発言でヤバいと判断。咄嗟に席を飛び出すも、少し遅かった。
「す、すみません!」
「…やると思った」
声の主は太一である。案の定、お盆に乗せたお茶を落とし、床は濡れていた。幸い、私がすぐに気付いたことで湯呑みは割れることはなく、誰にもお茶はかからなかった。私を除いては。
「大丈夫ですか!?あわわ、どうしよう!赤くなってる!水!」
「落ち着け。大丈夫だから」
二次被害が起きたらたまったもんじゃないので、腕を掴んで静止する。
「でも!」
私は熱いお茶がかかったことで、手や顔などを火傷していた。だが、そんなことは問題ない。
「よく見て。どこも火傷してないから」
「あれ?」
いつもの能力で瞬時に回復し、どこも異常はない。鈴鳴第一はこの力を知らないから無理もない。知っているはずの米屋と緑川でさえ動揺しているのだから。
「おかしいな…?」
「お客様、大丈夫ですか!?」
「あ、大丈夫です。お茶溢しただけなんで。雑巾ください」
どう見てもそれだけじゃないだろというような目で見てくる店員。服も濡れてるし、火傷はしていると思ったのだろう。雑巾に加えてタオルと氷まで持ってきた。濡れたところを拭くためにタオルは借りたけど、氷は遠慮した。
「本当に大丈夫?」
「大丈夫です。さ、食べましょう!」
片付けも終わり、やっと焼肉を食べ始める。毎日のように食べてると飽きるけど、やっぱり美味しい。ちゃんとした焼肉屋ってあまり行かないから、味の違いがよくわかる。
「本当に…大丈夫?」
「心配しすぎですって。ほら」
腕をまくったりして、どこも火傷していないことを証明する。それで納得したようだ。
「よく太一が落とすって分かったね」
「嫌な予感がしたので」
直感で片付けることにした。あまり私の秘密を漏らすのも良くないと思ったし、上層部から何か言われそうな気がしたからだ。
「それならいいけど…」
「あっ!すみません、水が!」
…またか、太一。今度は水を溢しただけでよかった。
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葉月(プロフ) - 青い夕日さん» コメントありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします。 (2020年5月8日 0時) (レス) id: f4ed754532 (このIDを非表示/違反報告)
青い夕日 - 面白いです!更新頑張ってください! (2020年5月7日 20時) (レス) id: e84367e7a0 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 侑華さん» ありがとうございます!頑張って更新しますので、これからもよろしくお願いします。 (2020年4月11日 22時) (レス) id: f4ed754532 (このIDを非表示/違反報告)
侑華(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます。大変かもしれませんが更新頑張ってください!楽しみにしています。 (2020年4月11日 11時) (レス) id: 4a19e93e40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/3f2cc79ad91/
作成日時:2020年4月4日 0時