63話 ページ23
*三輪side*
最悪だ。何故よりにもよってこの女に見つかったんだ。一番見つかられたくなかったこいつに。何故だ。
「三輪、何があったの?」
やめてくれ。それ以上こっちに来るな。思い出してしまう。
「秀次、何があったの?」
どうして、どうしてお前が。どうしてお前なんかが。
「あっちへ行け!」
手に持っていた瓶をがむしゃらにいくつも投げつける。まるで、自分が自分じゃない。
「出水、大丈夫!?怪我は!?」
「大丈夫だ。…ってお前、血が!顔も怪我してるぞ!」
「気にすんな!」
…血が。あいつから、血が。俺が、傷つけた。俺のせいで、あいつが。今度は、俺が。
「ちょっ、三輪!待って!」
俺は部屋を飛び出した。
****
*Aside*
「本当に怪我ない?」
「だからねえって。お前が庇ったからな。…普通逆だろ。顔に傷が残ったらどうするんだ」
私は咄嗟に後ろにいた出水に覆い被さることで、出水の怪我を回避させた。かなりの瓶を投げてたし、あれをまともに食らっていれば大変なことになっていただろう。…運が悪ければ失目もありえた。
「私に関する報告書とか見てないの?血は残ってるけど出血ももうしてないし、傷も綺麗に塞がってる。ほれ」
そう言って、手で血を拭って見せる。どこにも傷なんてない。何ヶ所かガラスの破片が顔などの皮膚に刺さっていたが、抜くとすぐに綺麗に傷口が塞がる。それを見て、私の力を信じたようだ。
「…そういえば、太刀川さんたち3人の攻撃を生身でもろに食らって大量出血してたとか言ってたっけ」
…多分、報告書を見てはいるけどまともに見てないな、こいつ。
「申し訳ありません、マスター。シールドの展開が遅れました」
「出水に怪我が無かったから問題なしとしよう。早く三輪を追いかけないとヤバい。…なんであいつ急に飛び出した?見られたから?」
それにしては何か違和感がある。恐怖というか、焦りというか…それに近い表情をしていた気がする。
「ってか、これバレたらヤバいだろ。即行で追いかけねえと」
「マーカーをつけたので、三輪の居場所は分かります」
「優秀だな、そいつ」
全くその通りである。これでまた探す手間が省ける。
「急ぐよ!」
「おう!」
私達は部屋の外へ行き、三輪を追いかけた。
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葉月(プロフ) - 青い夕日さん» コメントありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします。 (2020年5月8日 0時) (レス) id: f4ed754532 (このIDを非表示/違反報告)
青い夕日 - 面白いです!更新頑張ってください! (2020年5月7日 20時) (レス) id: e84367e7a0 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 侑華さん» ありがとうございます!頑張って更新しますので、これからもよろしくお願いします。 (2020年4月11日 22時) (レス) id: f4ed754532 (このIDを非表示/違反報告)
侑華(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます。大変かもしれませんが更新頑張ってください!楽しみにしています。 (2020年4月11日 11時) (レス) id: 4a19e93e40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉月 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/3f2cc79ad91/
作成日時:2020年4月4日 0時