子供でいたかった 【ヒプマイ】

イケブクロ ページ3

「一人でもいいもーん」

一人だけど、化粧も服装も気合を入れた。別にナンパされたいとは思ってないし、本当に一人でもいい、だけど、女の子やりたいもーん

駅の改札を抜け、スマホのナビを開く、サンシャイン水族館は前から行きたかった。高校の友達と「彼氏とデートしたいスポット」の話ででてきたからだ。

「お兄ちゃんとデートしたかったのになぁー
アラサーの癖に彼女作らないお兄様の為にデートの予定作ってあげたのにー」

独り言ばかりで少し虚しくなってきたので少し黙ろう、珍しくオシャレしてるんだ。楽しんじゃえ

「っ…！」

「ひぇっ…！？」

普通に歩いていると人が飛んできた。いきなり過ぎて変な声が出てしまった。喧嘩か…なんて野蛮なんだ…

「だ、大丈夫ですか…？」

「っ！！
これくらいっ…！」

黄色いパーカーの少年は、口を拭い、自分より図体のデカい男達を睨みつける、あぁ、不良の喧嘩だ

「兄貴二人に比べりゃ、大したことねぇな？」

「っ！低脳なお前達だもんな！いち兄に勝てるわけないだろ？」

挑発だけは一丁前なこの少年、まぁ、他人のシマで暴れるのはマナー違反だろうが、放っておくわけにもいかない

「あーぁ…今日はオフなんだけど…」

前髪を搔きあげ、首を回し、伸びをする

「えっ…お前…」

黄色い少年は可愛らしい女の子がいきなり立ち上がり、男どもの方へ向かっていく光景に目を見開く

「おっ、結構可愛いじゃん」

「綺麗なお洋服が汚れちまうぜー？可愛いうさぎちゃん？」

可愛い、という言葉に腹の底からモヤモヤと黒い塊が上がってくる、どうせ、本当の私の姿を見て可愛いなんて言わない、可愛い衣装着て、化粧で醜い部分を隠している今の姿だからこそ…スッピンなんて見せれない！！

「しょっぴかれたいの？」

スッピンブスにどーせ用はねぇんだろ？

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