子供でいたかった【ヒプマイ】 (ページ17)

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デザートページ17

「全部出してくれてありがとう」

「いえ…俺の方こそ、無理言っちまったんで」

公園のベンチで二人並んでクレープを頬張る、甘い生クリームに酸っぱいイチゴ、この場所覚えておこっと

「Aさんなら、他にいい人いますよ」

「…あぁ」

理解するのに時間がかかってしまったが、どうやら大好きな人の事を本命だと勘違いしているらしい、実は兄なんて言えない…

「そうかも、けど、私はその人を見つける自信ないなぁ、私、女子校だし」

苦笑いを浮かべた。話すのもいいが、クレープに齧り付く

「…痕、まだありますね」

「心配しなくてもいいよ」

心配そうにスタンガンの痕を見つめる彼が、とても可愛くて可哀想に思えた。怪我してるのは私なのに、不思議

「こんなの、残ったって困らないし」

「そんな事ないです！
Aさん、折角綺麗なのに！」

「き、綺麗…？」

二人して言葉の意味を理解し、耳まで真っ赤になる、お互い正面を向いて座り直し、手に持つクレープを食べる、しばらく、耳まで赤くしながら沈黙に耐えた。

「あ、あの…忘れて、ください…」

沈黙を破ったのは彼だった。帽子のツバを使い、顔を隠す二郎、なんて都合のいい…！

「あ…はい」

私も、彼の事言えない程異性経験がないので、この先どうすればいいか全く分からない、一個下にここまで乱されるとは…

「そ、そろそろ日が暮れるんで！駅まで送りますね！！」

「あ、ありがとう…」

今日1日楽しかった。1日だけでも、普通に男の子と遊んで、きゅんきゅんして、リードしてもらって…そう、デートみたいに…

でもこれは、お礼だから

「今日1日ありがとう、二郎くん」

「はい、気をつけて帰って下さいね」

ICカードを取り出し、改札に向かう時に、「あの！」と二郎に呼び止められる

「また。会えますか…？」

私は階段の数段上にいて、二郎ともろに目が合う、彼は少し顔を赤くしていた。初めての経験だ…こんなの

「予定が合えば、また」

嘘、二郎くんのこと、気に入っちゃったから、もう会わない、これ以上一緒にいたら、私の立場を見失いそう

「じゃあね」

「はい！」

さよなら、二郎くん