☆28話 ページ28
「だから、そういう立場とかを逃げる理由にしないでもらえません?」
恍惚的とも捉えられる表情。漣はもしかしなくても、私がどんな返事をするのか分かっているのだろう。そんな顔をしている
関わっていた時間は短いけれど、何となくわかった
「俺、プロデューサーのAじゃなくて、AAの言葉が聞きたいんですよ」
胸になにか温かいものが流れてこんできてような感覚に襲われる。これをもしかしたら愛おしさと呼ぶのかもしれない
胸をしめつけられるような感覚が走る
けれど、不思議と不快じゃない
真っ直ぐに目を見て言うのはどうしても恥ずかしくて、少し視線を下にしてはくはくと口を開いて 言葉を紡いだ
「ふ、ふつつか者ですが…よ、よろしくお願いシマス」
「……」
「な、なんか言っ…」
漣がどんな反応をしているのか気になり、下にしてきた視線をまた漣に向けようとすると腕を捕まれて漣の方に勢いよく引き寄せられる
突然の出来事に抵抗することも出来ずに、ことに身を委ねることしか出来ない。漣を顔がドアップになったと思ったと同時に、ふにっと唇に柔らかい感触を感じた
「ッ!!?」
「…好きっす」
ほんの一瞬触れた唇、それは紛れもなく私のファースト・キスで 私の頭はキャパシティを超えて、オーバーヒート寸前だ。というかもうオーバーヒートしている
まさかキスされるなんて思わなくて水を求める魚のように口をハクハクしていると、漣はニィッとイタズラが成功した悪ガキのような笑みを浮かべた
「もう、二度と手放したりしないんで」
まだ掴んでいる私の腕をまた引き寄せて、今度は耳に口を寄せられる。今度は何!?と狼狽えていると、漣は小声で耳打ちをした
「覚悟してくださいよぉ〜?」
・
あぁ私は、
とんだハイエナに捕まってしまったようだ。
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作者名:モモ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kid0019/
作成日時:2020年2月24日 11時