ゼラニウム(白)ーhrー ページ16
「Aちゃんはどう思う?」
彼が私に笑いかけた
その可愛い笑顔は多くの人を虜にする
『・・・えっと何が?』
「もお〜ちゃんと聞いてよね」
マスクをつけたままでも分かるように膨らんだ頬
やっぱりあざとい・・・
「来週の土曜日空いてる?」
『来週?確かに仕事はないけど・・・』
「じゃあ空いてるってことだよね」
突然距離を詰めた彼に驚いて少し後ずさりする
そんなことは気にもせずに彼は距離を詰めた
「なんで逃げるの?僕傷ついちゃうよ」
悲しそうな顔をする彼の肩を押さえて後ろに下がった
『だ、騙されないからね!』
彼は虚を突かれたようで驚いていた
が、すぐに笑い出す
「あははっ・・・やっぱりAちゃんは騙せないね」
『はぁ〜ヒラはいつもそうやって私をからかって・・・楽しい?』
「楽しいよ」
『・・・』
楽しそうに笑う彼にため息をつきながらスマホを取り出した
『で、来週の土曜だっけ?空いてるけど何か用事でもあるの?』
「用事?」
『可愛い顔して首かしげても私は知らないよー』
「僕、Aちゃんとデートがしたいな」
『は?』
聞き間違いか?
「だからデート」
『いや、何言ってんの?』
「え?」
『え?』
会話が噛み合わずに二人して首をかしげた
「じゃあどこ行きたい?デート」
『いやいや待ってよ。そもそも私達付き合ってたっけ?』
「え、付き合ってないけど・・・まだ」
『まだ?』
「どこ行きたい?」
『えっ・・・じゃなくてヒラは私のこと好きじゃないでしょ』
「ん?」
首をかしげる彼はいつものように笑う
「いつも言ってるでしょ。俺はAのことが好きだって」
頬に手が添えられる
顔に熱が集中する感覚がした
「というわけで・・・プレゼント〜」
赤い花が目の前に現れた
「ゼラニウムって言うんだって」
『花とか急にどうしたの?』
「フジと一緒に見ててさ」
赤い花を見つめる
花言葉は確か・・・
「気に入った?」
私はゆっくりと頷く
『うん・・・ありがとう』
未だに私は自分の気持ちを受け入れられない
白だったら良かったのに
ゼラニウム
【偽り】 【詭計】
【尊敬】 【信頼】
ゼラニウム(赤)
【君あての幸福】
ゼラニウム(白)
【あなたの愛を信じない】
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作者名:静輝 | 作成日時:2021年7月1日 16時