太宰治の姉は天才です！

天才 17 ページ19

「うふふ...。」

自然と笑みが浮かんできているかのように笑うA。その姿は美女のお手本のようであった。もちろん会社なので、他の社員はなにがあったのかと首を傾げる。

「ほんと面白い人ばかりだわ...。」

と言い、携帯をいじりだす。すると、ある女性がAの所へとやってきて、

「これ、頼めます？」

と、仕事を押し付けてきた。Aは驚いたようだったが、チラリと書類の山をみて、

「は〜い。そこ置いといてくれる？」

と、また携帯をいじる。Aが、これ程機嫌が良いのは久しぶりである。いや...初めてかもしれない。

「...機嫌が良いのね。」

Aに向けて、女が言うとAはふわりと笑い、

「だって、面白いことがおきるのだもの。機嫌が良くて当たり前でしょう？」

と、言った。その顔には残酷でそれでいて美しい笑顔が浮かべられていた。女はビクリと恐怖に身体をふるわし、その場を去った。

「楽しみだわ...。」

まるで、子どものようにクスクスと笑うAだったが、その顔は子どもとは思えないほど大人びている。

「「...。」」

その場にいた全員が、震えあがり、Aの方をちらりとみた。

「...どうかしましたか？」

震えあがらせたことに気づいていないのか、Aはきょとんとしたように、部屋にいる一人一人をみる。彼らは無言で仕事を始めた。

「...？」

不思議に思いながらもAは仕事を再開させた。

天才 18→←天才 16

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す