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天才 10 ページ12

「ちょうど誰か新人構成員を派遣しようと思っていたが、手間が省けた。」

中也はケラケラと笑いながら言うが、Aは一般人である。元ポートマフィア最年少幹部だった太宰治の姉だとしても、そこらへんにいる女性と大差ない。運動能力が高いのと頭が少し良いだけだ。とAは思っている。が、実際、彼女のような女性は裏社会にもまれな天才美女なのである。当然、彼女はその事を知らない。というか、知ろうともしない。

「姉さん。頼める?ちょっと探るだけなんだ。誰にでもできる。」

太宰がAの顔を覗き込みながら言う。すると、彼女は疑問に思った事を素直に口に出した。

「なんで探偵社のあんたがポートマフィアを助けるような真似をするの?」

と。疑問に思うのは当然だ。例え、元ポートマフィアでも、今はポートマフィアにとって敵対組織である武装探偵社に入社しているのだ。協力する意味は誰もわからないだろう。

「実は姉さんの会社は武装探偵社も潰そうとしているらしい。だから、念の為に協力してるのさ。」

太宰はそんなAの素朴な疑問をスラスラと答える。Aはしばらく考えるように目をつぶった。見えないはずの空を仰ぎみて、彼女の中の荷物を出すように息を吐き出す。そして、次目を開いた時、彼女の目は決意に満ち溢れていた。

「やるわ。」

かなり危険なことなのに、当然かのようにAは言った。中也はこの時不意に思ってしまった。

「流石太宰の姉だけあって感覚が狂ってやがる。」

と。実際そうなので突っ込めないのであるが、Aはそう思ってはいない。彼女はあくまで私は一般人だと言い張るつもりでいるのであった。

「ありがとう。」

太宰がそう言って微笑むとAはプイっと目を逸らした。その顔が少し赤くなっていたことを、太宰と中也は見逃さなかったが、あえて何も言わなかった。

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華萌(プロフ) - なみさん» ご指摘ありがとうございます!なおさせていただきました! (2018年5月30日 6時) (レス) id: e0296fd304 (このIDを非表示/違反報告)
なみ - 天才18で敦君と乱歩さんの会話で敦が厚になっていました。 (2018年5月29日 16時) (レス) id: cb663bc979 (このIDを非表示/違反報告)
華萌(プロフ) - #祭鼓*@harigaya mako*さん» 返事遅くなってすみません! ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!! (2018年5月23日 6時) (レス) id: e0296fd304 (このIDを非表示/違反報告)
#祭鼓*@harigaya mako*(プロフ) - いつも、楽しく読ませて頂いております(*^-^*)テスト、頑張ってくださいq(^-^q)応援してます\(^o^)/ (2018年5月17日 23時) (レス) id: 509492d3f2 (このIDを非表示/違反報告)
華萌(プロフ) - ひなもちさん» 本当ですか!?ありがとうございます! (2018年5月15日 17時) (レス) id: e0296fd304 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:華萌 | 作成日時:2018年5月12日 21時

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