思わぬ発見 ページ27
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そんなこんなでテストである。
Aは普段朝練のある時間と同じ時間に家を出た。
テスト当日、朝練なんてあるはずも無い。
のにも関わらずこの時間帯に家を出たのは、電車で通学するためだ。
Aの自転車は先日チェーンが外れてしまって修理に出してある。
彼女の母が現役時代、自転車競技をしていた頃使っていたもののお下がりだ。
もうガタが来ていても可笑しくない。
そんなわけで、自転車の時の道より遠回りする電車では乗り換え時間などもあって、家から学校まで1時間15分ほどかかる。
そしてようやく電車をおり、ここからは歩きで15分歩いた所に帝光中はある。
大通りは車や自転車の通行量が多く、人混みも大したもので、Aは事故らないようにと裏の細道、住宅街の方から行く事にした。
そして見つけた。
『(…灰崎の表札…………)』
たまたま通った道にあった表札に目を向けると、灰崎という2文字が。
良くある…訳でもない苗字に、Aはもしかして…と思った。
そうして1分ほど経っただろうか、眺めていた家からガチャっと音がしてドアノブが回される。
友人である灰崎祥吾ならまだいい。
だが、全く赤の他人の場合、朝っぱらから玄関前に突っ立っているのは不審者さながらである。
灰崎祥吾であってくれ、そう思ったAの期待も虚しく、出てきたのはスーツを着たキレイな母親らしき人。
?「あら?どなたかしら」
『あっ…いえ…その…』
声のトーン的に年齢もそこそこいっているであろう女性。
だが想定年齢よりも若く見えるその女性に釘付けになっていたAは返事が遅れた。
なんと言おう、正直に話すか。
そう思った矢先、口を先に開いたのは女性の方だった。
?「その服帝光中学校よね?もしかして翔吾の彼女さん?」
『えっ』
Aはここは灰崎祥吾の家であると確信した。
そしてこの人は彼の母であるとも。
前世で黒子のバスケのファンブックを完璧記憶しているAはその知識を引っ張り出し、灰崎家が母子家庭だと言うことを思いだした。
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五月雨雫(プロフ) - 雪之絵さん» マジで!?やば嬉しい!!やったァ!!!これからもこの小説とこん運よろしくお願いします(笑) (2023年3月7日 18時) (レス) id: 4239cac4a0 (このIDを非表示/違反報告)
雪之絵(プロフ) - こん運見ました!! めっちゃ面白かったです! (2023年3月7日 17時) (レス) @page26 id: 3c223fb8e8 (このIDを非表示/違反報告)
宵(プロフ) - 初コメ失礼します。主さんの話めっちゃ好きです!更新頑張ってください! (2022年3月31日 21時) (レス) @page8 id: b62edcffd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:五月雨雫 | 作成日時:2022年3月21日 23時