我々、イカなり。 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:7,163 hit

＊サン＊ページ5

完敗したその後。
俺は1人で野良試合に混ざることにした。
まだ低ランクだし、そんなに攻撃手段も持っていないけれど。足を引っ張ってしまっているのであろう自分が嫌だった。
少しでもチームに貢献出来るように。

緑チームとして部屋に入る。
ステージは違えど、出来る限り塗りを広げて。やられそうな味方には逃げ道の確保や、相手への攻撃を行う。

「ナイス！」

「なんだアイツ、つえー！」
「アイツ滅茶苦茶塗り広げてるし、アイツ優先的に倒そうぜ！」

俺を見ながらのそんな声が聞こえる。
…俺、強いんか…！！

思わず調子に乗ってしまう。
そんな中、味方チームが声をかけてきた。

「狙われるよ…？平気？」
「…んー、俺が引きつけるからさ！その間に裏取りやらなんやらしてや！」
「でも1人じゃ…」
「分かった。じゃあ頼むぞ」
「君はその子の援護をしたらいいんだよ。俺らは塗っとくから」

味方のイカが集まり、役割を決めていく。
最初に声をかけたイカは俺の援護。他2人は塗り専に。

【残り1分！】

「おっしゃ、頼むぞお前ら！」
「こっちのセリフ！」

味方の士気が上がり、ラストスパートをかける。
時々危なくなったりしたけどその度にチャージャーで援護してくれて、無事に生き残れる。

引きつける、と言っても逃げるだけではない。
しっかりと、余裕のある時には攻撃を仕掛けるのだ。

【終了！！】

その言葉を聞くと、インクが無くなり攻撃が止む。
その場で立ち止まり、結果を待つ。

47.8% vs 45.2%

【勝者、緑チーム！！】

「「よっしゃあ！！」」

無事勝利を飾れた。

そこで、自分のチームが裏取りを行っていると相手の滑稽さがよく分かった。
たった1人、2人の敵を追いかけて全体を塗るのが疎かになっていた。
周りが見れずに自分の道だけを作る。
それがどれ程こちらに有利なことか。

…小さなことかもしれないけれど、
分かったこと。

深追いはしすぎず、マップの塗り状況を把握。
そして、状況に合わせて戦い方を考える。

強い人たちにとってはこれは普通なんだろうけど、俺は今日漸く気づいた。

その発見ができたことに感情が高まりながら、帰路を辿っていった。